東京都の新型コロナ 「若者中心であり重症者が少ないから大丈夫」は本当か?
東京都の新型コロナウイルス感染症患者の増加が続いており、7月9日、10日は2日連続で200人を超える患者が報告されています。
「医療機関が逼迫してないから大丈夫」「重症者が少ないので大丈夫」という言説も散見されますが、本当に大丈夫なのでしょうか?
東京都の新型コロナウイルス感染症患者の発生状況
緊急事態宣言解除後は東京都内も報告数は少なくなっていましたが、6月下旬から1日に50例前後の報告数になり、7月に入ってからは100例前後、そして7月9日、10日は200例を上回っています。
これは第1波の東京都内でのピークをすでに上回っています。
新宿区のPCR検査スポットのPCR陽性率は40%近くにまで高くなっており、検査する人の2〜3人に1人は陽性という状況です。
この中には夜の街クラスターの方々も含まれていますが、関連のない方も多く含まれており、新宿区ではすでに市中感染が広がっていることが示唆されます。
前回も書きましたが、新宿区の病院では「骨折」「腹痛」といった新型コロナと関係ない理由で受診した方も新型コロナと診断される事例が増えてきています。
こうなってくると、どこに新型コロナ患者が紛れていてもおかしくない状況であり、病院内クラスターの発生が懸念される状況です。
新宿区など一部の病院では無症状の人でも検査前確率が高くなってきており、そろそろ「入院患者に全例PCR」「手術患者に全例PCR」という拡大検査が意味を持ち始める時期になってきています。
新型コロナは発症して7日〜10日頃から悪化してくる
今現在、確かに重症患者は「5人」と第1波と比べてはるかに少ないです。
第1波での重症患者数は最大で105人でしたので、それと比べるとまだまだ余裕があります。
しかし、今は多くはありませんが、1、2週間後はどうなっているか分かりません。
なぜなら、新型コロナウイルス感染症は発症してしばらくしてから悪化するからです。
典型的には、発症から7〜10日経ってから悪化します。
新型コロナ患者の多くは、発症から1週間前後で診断されていますが、高齢者や基礎疾患のある人はより短期間で診断される傾向にあるため、重症者が増えてくるのは診断時よりも後になります。
つまり、重症者のピークは患者発生数よりも後に来るので、今重症者が少ないからと言って安心はできません。
東京都の流行の中心は今も若い世代ですが、すでにその周辺の高齢者や基礎疾患のある方も感染しており、今後の重症者の増加が懸念される状況です。
「若い人は重症化しないので大丈夫」というのは2つの意味で間違っていますが、そのうちの1つは「すでに流行は若い人だけではない」ということです。
入院患者数も徐々にですが増加傾向になってきています。
これまで中等症以上の人が医療機関に入院し、軽症者はホテルに滞在となっていましたが、東京都が確保しているホテルも余裕がなくなってきているようで、一部の軽症者も医療機関に入院するようになっています。
症状は軽くても、入院患者が増えすぎると検査や保健所への連絡など、医療機関への負担は増えていきます。
若い人も重症化しないわけではない
「若い人は重症化しないので大丈夫」というのは2つの意味で間違っていると申し上げましたが、もう1つは「若い人も重症化することはある」ということです。
6月30日までに969人の方が新型コロナウイルス感染症で亡くなられています。
確かに重症化するリスクが高いのは高齢者であり、亡くなっているのも70歳以上の方が8割を占めます。
しかし、20代・30代の方で亡くなられている方もおり、決して罹っても大丈夫な感染症ではありません。
また、感染症は自分だけの病気ではなく、周囲にも広げてしまうことが特徴です。
若い方が感染者の中心である、という現在の状況は「無症状~軽症の人が多いため活動性が高く、感染を広げやすい」とも言えます。
自分を守るためだけでなく、ご自身の家族や同僚など大事な人たちを守るためにも、一人ひとりが今一度「手洗い」「咳エチケット」「屋内でのマスク着用」「3密を避ける」といった感染対策を徹底しましょう。