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朝倉未来を絞め落としたクレベル・コイケがRIZIN復帰で見据える「未来」とは──。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
RIZINのリングで3連勝中のクレベル・コイケ(写真:RIZIN FF)

RIZINで名を残したい

「いまは他団体のイベントに出場するつもりはない。RIZINでタイトルマッチを闘うチャンスがあれば、良い試合をして必ず勝ちます。GP(グランプリ・トーナメント)が開催されるなら参加して優勝したい。日本の代表としてRIZINで(米国の団体)ベラトールの選手を迎え撃つつもりもある。(ホベルト・)サトシ(・ソウザ)先生のようにチャンピオンになって日本に自分の名前を残したい」

1月21日、「RIZIN TRIGGER 2nd 対戦カード発表記者会見」に出席したクレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術)は、そう話した。

一時はRIZINとの関係悪化が伝えられたクレベルだが、これで正式に復帰が決定。2月23日(祝)に静岡・エコパアリーナ『RIZIN TRIGGER 2nd』のメインエベントで佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)と対戦することとなった。

(提供:RIZIN FF)
(提供:RIZIN FF)

言うまでもなくクレベルは、RIZINフェザー級戦線の中心的存在だ。現在のチャンピオンは牛久絢太郎(K-Clann )だが、実力的には、クレベルが抜きん出ている。佐々木戦は、ウォ―ミングアップマッチとの見方が強い。

もちろん佐々木も実績のある選手。修斗・環太平洋フェザー級のベルトを腰に巻いた後、UFCで9戦(4勝5敗)のキャリアを積んでいる。

しかし、RIZINのリングでの直近の成績はパッとしない。初参戦となった2018年大晦日にこそ、マネル・ケイプ(アンゴラ)に勝利するも、2019年は、石渡伸太郎(CAVE)、朝倉海(トライフォース赤坂)に完敗、一昨年大晦日には瀧澤謙太(フリー)に勝つも昨年は堀江圭功(ALLIANCE)に敗れた。RIZINでの戦績は2勝3敗。

対してクレベルは、すべて一本勝ちでの4連勝中。RIZINでは負けなしで、昨年6月、東京ドームで朝倉未来(トライフォース赤坂)を絞め落とした一戦は、あまりに衝撃的だった。実力、勢いともにクレベルが上回っており、彼が佐々木に勝利すると見るのが妥当だろう。

記者会見で顔を合わせたクレベル・コイケ(左)と佐々木憂流迦。両雄はともに静岡在住、同級生(32歳)でもある(写真:RIZIN FF)
記者会見で顔を合わせたクレベル・コイケ(左)と佐々木憂流迦。両雄はともに静岡在住、同級生(32歳)でもある(写真:RIZIN FF)

充実のフェザー級戦線

そして、クレベルはその先も見据えている。

注目したいのは、ファン待望の「RIZINフェザー級GPトーナメント」だ。

「今年は、フライ級かフェザー級のGPトーナメントを開催したい」

除夜の鐘が鳴り響いた直後に、さいたまスーパーアリーナのインタビュースペースで榊原信行CEOは、そう話していた。

フライ級の底上げも必要だろう。

しかし、いまファンが観たいのは、タレント揃いで混沌としているフェザー級のトーナメントであることは明らか。これが実現したら面白い。

RIZINにおけるフェザー級(66キロ以下級)のランキングは以下の通りになろう。

<王者>牛久絢太郎

1位 クレベル・コイケ

2位 朝倉未来

3位 斎藤裕(パラエストラ小岩)    

4位ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

5位 堀江圭功

このほかにも今回、クレベルと闘う佐々木憂流迦

萩原京平(SMOKER GYM)

白川陸斗(トライフォース赤坂)

金原正徳(立川ALPHA)

摩嶋一整(毛利道場)

カイル・アグォン(米国)

鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)

中村大介(夕月堂本舗)

弥益ドミネーター聡志(team SOS)

芦田崇宏(BRAVE)

鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)

神田コウヤ(パラエストラ柏)

山本空良(パワーオブドリーム)

そして総合格闘技キャリアわずか1戦(1敗)ながらも何かと話題の元K-1戦士・平本 蓮(THE PANDEMONIUM)と気鋭のファイターが揃っている。

昨年に行われた「バンタム級トーナメント」と同様に16選手参加のフェザー級トーナメントが開かれたなら、盛り上がることは間違いないだろう。新型コロナウィルスの感染拡大が収まらぬ状況下、今年も外国人選手の招聘は難しいかもしれないが、国内の選手のみの参戦でも興味深いトーナメントになるように思う。

中心となるのは、やはりクレベルと朝倉未来。そして両雄が大晦日のリングで、再度対峙したならばボルテージは最高潮に達しよう。

クレベルが戻ってきたことで、RIZINフェザー級戦線はさらにヒートアップする。彼の現在の目標は、RIZINフェザー級の頂点に立ち地位を不動のものとすること。まずは、『2・23RIZIN TRIGGER 2nd』での闘いぶりを注視したい。

なお、同イベントでは、十数試合が行われる予定。記者会見では次の2試合が決まったことも発表されている。

(提供:RIZIN FF)
(提供:RIZIN FF)

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストとして独立。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍している。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『伝説のオリンピックランナー”いだてん”金栗四三』、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。

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