新型コロナ 第6波は来るのか?
全国的に新型コロナの感染者が減少しています。
このこと自体はとても良いことなのですが、果たしてこのまま第6波は来ないのでしょうか?
来るとすれば、私たちはどういったことに注意して日常を過ごせば良いのでしょうか?
全国で新規感染者が大きく減少している
日本全国で新型コロナの感染者数が減少しており、10月22日の感染者数は322人となっています。
第5波のピークであった8月20日には25871人の新規感染者が報告されていましたので、80分の1まで減少していることになります。
第3波と第4波の間の感染者数の底よりも、現在の感染者数の方が少なくなっています。
「減りすぎていて逆に怪しい・・・実際にはもっと感染者がいるはずだ!!」と思われるかもしれませんが、診断されていない感染者がどれくらいいるのかを推定する指標である検査陽性率や、診断される感染者に占める無症状者の割合を見ても本当に減っていると考えられます。
東京都の検査陽性率を例に取ると、現在は1%未満にまで低下しておりこれは流行初期から見ても過去最低の水準です。
これだけ感染者が減った原因としては、様々な要因があると思われますが、ワクチン接種率が高くなり集団として感染伝播が起こりにくくなっていることが要因の一つとして挙げられます。
人を木、集団を森、感染を炎に例えると、ワクチン接種開始前には燃えた木から周囲の木に容易に燃え広がりやすい状況でした。
ワクチン接種率が高い集団では、ワクチン接種をした人は感染リスクが低くなる、つまり雨の後に水をかぶった木のように燃え広がりにくい状態をイメージすると分かりやすいのではないかと思います。
2回のワクチン接種を完了した人が69%に達している現在は、以前よりも感染が広がりにくくなっている状態と考えられます。
では、このまま新型コロナは日本では流行しなくなるのかというと、残念ながらそんなことはないでしょう。
第6波が起こる要因は?
再び流行が起こる要因は2つあります。
1つ目は、若い世代でまだ十分にワクチン接種が行われていないことです。
第5波はこれまで以上に若い世代が感染者の中で多くの割合を占めていました。
活動性の高い人の間で広がりやすいというこの感染症の特性上、この傾向は今後も続くと思われます。
この世代でワクチン接種率が他の世代よりも低いことは、まだ国内で流行する余地が残っていることを意味します。
2つ目の要因は、ワクチンによる感染予防効果の減弱です。
現在日本国内で広く接種が行われているmRNAワクチンは、接種後しばらくは高い感染予防効果がありますが、時間経過とともに低下してくることが分かってきています。
80%以上の高いワクチン接種率を達成しているシンガポールでも過去最大の流行を迎えており、ワクチン接種を完了した人も重症化は防げても感染そのものを防ぐことは難しいことが分かります。
感染予防効果を再び高めるために、現在ブースター接種の必要性が議論されていますが、ブースター接種が行われることになったとして、接種が広く行き渡るまでには時間がかかります。
これ以外にも、冬になり気温や湿度が下がると新型コロナが流行しやすくなりますし、行動制限が緩和されれば感染リスク行動にも繋がりやすくはなります。
このように、今のまま感染者が減り続けてコロナが収束するというシナリオはおそらく期待できないだろうと思われますので、第6波が来ることは想定しておかなければなりません。
すでに北海道、沖縄県などではリバウンドの兆候が見えていますが、感染者が少ない中での感染者の増減はクラスターによって大きく左右されることがあるので、もう少し経過を注視する必要があるだろうと思っています。
基本的な感染対策は継続する必要がある
だからといって、私は「第6波はいずれ来るから行動制限を続けるべきだ!」と言いたいわけではありません。
「新型コロナ第5波を振り返って 過去最多感染者数と低下した致死率 今後取るべき対策は?」という記事でも述べましたが、第5波ではワクチン接種による重症化予防効果によって致死率が大きく下がり、ヒトにとっての新型コロナの相対的な脅威度は徐々に下がりつつあります。
これまでのように大きく行動を制限しながらの感染対策を見直す時期に来ていることは明らかです。
それでも、マスクを外してコロナ前の生活に戻れるところまではまだ来ていません。
重症化する人が減っているとは言え、極端に感染者が増えてしまえば医療機関は逼迫しますし、亡くなる方も増えてしまいますので、屋内ではマスクを装着し、3密を避ける、こまめな手洗いを徹底するという基本的な感染対策は当面の間は続ける必要があります。
それを前提として、検査やワクチン接種によってどこまで行動制限を緩和できるのかを、少しずつ確認していく作業がこれから行われることになりますが、海外の状況を見ると極端にアクセルを踏みすぎることなく、慎重に進めていく必要があります。