主な新興国経済ニュース(5月27日)
ロシアソフト大手ルクソフト、NY証取で新規上場へ
ロシアIT持ち株会社IBSグループ傘下のソフト大手ルクソフトはこのほど、ニューヨーク証券取引所(NYSE)での新規株式公開(IPO)を目指して、米証券取引委員会(SEC)に対し、上場申請書を提出した。プライム通信(電子版)などが23日に伝えた。
同社の共同幹事社として、すでに米投資銀行コーウェン・アンド・カンパニーやクレディスイス証券、JPモルガン証券、スイス金融大手UBS、ロシア2位の投資銀行VTBキャピタルが指名されている。
SECに提出した上場届けでは、同社はIPOで8000万ドル(約81億円)を調達するとしている。しかし、新規株式公開の規模や株式の公開価格などの条件は明らかにしていない。
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ロシア石油大手ロスネフチ、ベネズエラPDVSAと共同で油田開発へ
ロシア国営石油開発大手ロスネフチは24日、ベネズエラ国営石油会社PDVSAと合弁会社「ペトロビクトリア」を設立し、ベネズエラの世界最大級の油田地帯として知られるオリノコ油田地帯で2カ所の油田鉱区を共同開発することを明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。
ペトロビクトリアは2016年までに同鉱区で日量12万バレル(最終的に40万バレルへ拡大)の原油を生産する。ロスネフチは合弁会社の株式40%を11億ドル(約1100億円)で取得するほか、合弁会社に対し15億ドル(約1520億円)を融資する計画。
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5月20-24日のロシアRTS指数、1405.34―3週続落=BRICs市況
前週(5月20-24日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は24日終値が前週比1.2%低下の1388.52となり、3週連続で低下した。週明けのRTS指数は前週末(17日)の反発の流れを受けて高寄りして始まり、週前半は3日続伸し、22日には終値ベースで1461.93と、4月10日の直近高値1453.81を超えた。しかし、週後半は原油安や米国の量的金融緩和(QE3)の先行き不安から急反落し2日続落して引けた。
この結果、RTS指数は週央に急伸したものの、4月10日の直近高値から同月18日の直近安値(1327.55)までの下落分(126ポイント)の6割程度の値戻しに終わっている。2月1日の年初来高値1628.31との比較でもまだ14%値を下げたままだ。
週明け20日は、前週末の反発の勢いを受け継いでRTS指数は上昇したものの、主要経済データの発表がなかったことから、手掛かり材料難の中、緩やかな上昇となった。ただ、個別銘柄でロシア2位の金融大手VTB銀行は1‐3月期決算が好調となったため、増配観測で前週末比3.31%高となった。
21日は米国のFOMC(公開市場委員会)議事録の発表前日とあって、月400億ドル(約4.1兆円)のMBS(不動産担保証券)の買い取りによる第3弾の量的金融緩和(QE3)への期待感や中東カタールの国家投資ファンド、カタール・ホールディングによるVTBへの出資報道で3.7%高と急伸し、RTS指数も上昇した。
22日も議事録に加え、ベン・バーナンキFRB議長の講演に市場の関心が集まり、RTS指数は前日比2.02%高と急伸。しかし、23日は前日発表されたFOMC議事録で、多くの委員が資産買い取りペースを落とす準備があると指摘していたことが分かり、米国は量的金融緩和からの脱却を目指す出口戦略にシフトするのではないかとの懸念が強まった。また、原油先物の下落も手伝って、RTS指数は4.18%安と、急反落した。週末24日も米国のQE3の縮小懸念や原油安を受けて、RTS指数は2日続落している。
今週(5月27-31日)のロシア市場は、米国株の利益確定売りの影響で、引き続き売り圧力が高まる見通し。また、米国では28日の5月消費者信頼感指数と30日の1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率改定値と週間新規失業保険申請件数、31日は4月個人所得・支出統計と5月シカゴ購買部協会景気指数、5月ミシガン大消費者信頼感指数などが発表される予定のため、市場ではQE3の縮小が裏付けられるかどうか見極める動きになりそう。
このほか、28日にはロシア肥料大手アクロンと石油大手ルクオイルの1‐3月期決算発表、また、31日のロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)の株主総会に市場の関心が集まる見通し。他に相場に影響を与える今週の主な統計としては、アジアでは31日の日本の4月失業率と4月鉱工業生産指数、欧州では29日のドイツ5月失業率と30日のユーロ圏5月消費者信頼感指数、31日のユーロ圏5月失業率などが予定されている。
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第一生命保、インドネシアの同業大手パニン・ライフへ出資か
第一生命保険<8750.T>は、インドネシアの同業大手パニン・ライフの株式40%を約300億円で取得することで基本合意したもようだ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が24日に外国通信社の報道を引用して伝えた。
関係者によると、合意内容の詳細について詰めの作業が残っているため、正式発表までにはあと数日かかる見通しだ。一方、第一生命は24日付の発表文で、「当社によるパニン・ライフへの出資に関し一部報道があったが、これは当社が公表したものではない。開示すべき事実が決定した場合には、適時適切に公表する」とし、報道内容については肯定も否定もしていない。
また、第一生命は、マレーシア金融大手AMMBホールディングス傘下の生命保険会社の過半数の株式取得を目指している。
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インドネシア製鉄大手クラカタウ、日鐵商事との合弁会社への出資比率引き上げへ
インドネシア国営製鉄大手クラカタウ・スチールのイルファン・カマール・ハキム社長は24日、韓国と日本とのそれぞれの合弁会社への出資比率を引き上げる方針を明らかにした。ジャカルタ・ポスト(電子版)が伝えた。
クラカタウは日本とは日鐵商事<9810.T>との間で合弁会社インドジャパン・スチール・センターを設立し、現在、西ジャワ州カラワンに工場を建設中だ。工場は7月から操業を開始する予定で、自動車用鋼板を年間12万トンで生産する。クラカタウは現在、合弁会社の株式20%を保有しているが、最大45%まで引き上げることが可能だとしている。
また、クラカタウは、2009年に韓国鉄鋼大手ポスコと合弁会社クラカタウ・ポスコを設立し、バンテン州チレゴンに60億ドル(約6100億円)を投じて製鉄所の建設に着手している。現在、工事の進捗率は85%で、今年12月23日から工場の稼働を開始する予定。クラカタウの出資比率は現在、30%だが今後、45%にまで引き上げることが可能だとしている。
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ベトナム政府、新財務相にズン前国家監査院長を起用へ
ベトナム政府は24日、ブオン・ディン・フエ財務相が与党・共産党の経済委員会のトップに就任するため辞任したのに伴い、新財務相に国家監査院のディン・ティエン・ズン前院長(52)を起用することで、議会の承認が得られたことを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。
ズン氏は2001年から国家監査院の院長に就任したが、それまでは建設省の副大臣などを歴任している。新財務相としては、景気低迷による税収の伸びの悪化や景気の足を引っ張っている国営企業のリストラが喫緊の課題となる。
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ブラジル石油大手ペトロブラス、アルゼンチンの一部資産売却で協議中
ブラジル国営石油大手ペトロブラスのグラッサ・フォスター総裁は先週開かれた議会の公聴会で、同社はアルゼンチンに保有する資産の一部を売却するため、すでに協議に入っていることを明らかにした。しかし、同総裁はアルゼンチンでの事業から完全に撤退する考えはないとしている。中南米専門の通信社メルコプレス(電子版)などが24日に伝えた。
同総裁は、現行の5カ年経営合理化計画(2013-2017年)に従って、2017年までに国内外の資産を売却して、99億ドル(約1兆円)の資金を調達するため、その一環として、アルゼンチンでもペトロブラスのアルゼンチン法人であるペトロブラス・アルゼンチーナ(PESA)を含め、資産の一部を売却するとしている。
現在、同社のアルゼンチンでの資産には、バイア・ブランカ製油所や天然ガスパイプライン網、発電所、ガソリンスタンドチェーンなどがある。PESAの買収では、アルゼンチンの石油大手インダロ・グループが名乗りを上げている。PESAは現在、アルゼンチン国内で79カ所のガソリンスタンドチェーンの運営や、ネウケン州やラ・パンパ州、チュブ州の油田鉱区で探鉱活動を行っている。