山梨県・長野県・新潟県で構成される甲信越地方は、いずれも温泉に恵まれたエリア。

土地柄から山に囲まれた温泉地が多く、静かなソロ温泉（ひとりでの温泉旅）を好む人には候補地が多くて、逆に迷ってしまう。温泉の質もよい。

今回はひとり旅で訪ねたい甲信越地方の温泉地を紹介したい。

湯村温泉（山梨県）

甲府の市街地に混在する小さく静かな温泉地。「信玄の隠し湯」や太宰治が滞在した温泉としても知られる。ぬるめの湯なので、暑い夏でもゆっくりと長湯をするのに向いている。宿は10軒弱。大型旅館もあるが、リーズナブルな小旅館やビジネスホテルもある。新宿駅から特急で甲府駅下車（90分）。甲府駅からバスで15分。

下部温泉（山梨県）

山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。昔から湧く20～30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。夏場には最高である。源泉にこだわるなら足元湧出の古湯坊源泉館で、湯治向けである。静かな温泉地で、ひとり旅にはもってこい。

戸倉上山田温泉（長野県）

戸倉上山田温泉は、温泉が豊かな長野県の中でも地味な存在だが、硫化水素臭を放つ源泉は大変すばらしい。風情のある温泉旅館が多いほか、気軽に立ち寄れる共同浴場が多数存在するのも魅力。

野沢温泉（長野県）

標高600ｍに位置する情緒あふれる温泉街には、旅館や土産物屋、飲食店などが並ぶが、ほどほどの賑やかさで、ひとり旅でも過ごしやすい。正統派の温泉旅館のほか、民宿やペンションなども多く、リーズナブルな滞在も可能だ。13カ所ある共同浴場をめぐるのも楽しい。

栃尾又温泉（新潟県）

3軒の宿が寄り添うように建つ小さな温泉地。3軒とも湯治対応の宿なので、予算などと相談しながら決めるといいだろう。基本的にはどの宿でも、宿泊した人のみが入浴できる共同浴場を利用する。約36度の源泉は湯との境界があいまいになる不感温度。1時間は平気で入浴していられる。飲泉も可。