早稲田大学・河瀬諒介、驚きのコンバートの裏側を語る。【ラグビー旬な一問一答】
大学選手権2連覇を目指す早稲田大学ラグビー部は11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で加盟する関東大学対抗戦Aの慶應義塾大学戦に挑む。1年時からフルバックとして主力を張る3年の河瀬諒介が、17日までに取材に応じた。
チームはここまで5連勝中。1日には充実の帝京大学を45―29で、7日には筑波大学を50―22でそれぞれ下した(ともに秩父宮)。
河瀬は序盤戦を欠場するも、帝京大学戦で今季初のベンチ入り。筑波大学戦では本職と異なるスタンドオフで先発。驚きを与えた。
今回の取材では、雌伏期間の思いやコンバートの背景、今後の展望について語っている。
以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――長らく腰の状態が悪く、シーズン序盤戦は欠場していました。
「神経痛が足に出ていて。はじめは手術をしなくてもいいと思っていたのですが、自粛期間明けにMRIを撮ったら前より(悪影響が)出ているからと、7月初めに手術をしました」
――回復までの過程は。
「(手術から)4~5日くらいで退院しました。はじめは何もできず、ストレッチから入って、徐々にウェイトトレーニングや、グラウンド周りのタータンを歩くなどをして、その後、走って…と。怪我だから仕方がないからと、自分でできることをやろうと考えていました。(練習復帰は)10月中旬くらいです。(10月4日の)開幕の時は、寮にいました」
――焦りは。
「手術したてくらいの頃は、皆、上井草できついことをしていたので、焦ることもありました。ストレスがたまっていたんですが、映画を観るなどラグビーを考えない時間を取るようにしました。リフレッシュにもなりました」
――当時思い描いていた復帰のめどは。
「帝京大学戦を目指して、という感じです。途中、(予定より)遅れるかも、とも言われましたが、結果的には予定通りです」
――現在の状態は万全のようです。
「去年に比べたら体重が2~3キロは落ちているのですが、その分、動きやすい。状態はいいです。(体重は)徐々に戻せたらと思います」
――筑波大学戦では本職と異なるスタンドオフとして先発した。
「帝京大学戦の1~2週間前くらいの頃にチームに怪我人が出ていて、武川さん(正敏ヘッドコーチ)に『スタンドオフ、やったことある?』と聞かれ『高校2年の時、1~2回くらいは』と答えたら『いいことを聞いたなぁ』みたいに言われたので、『あるかもしれない』と。心の準備というか、自分がいつやっても大丈夫なように気持ちを作っていました。
実際にやったのは帝京大戦が終わってからの1週間だけ。スタンドオフとしてのプレーは0点に近いのかなと思います。ただ、後藤翔太コーチには練習中に『きれいな10番(スタンドオフ)をしようとしなくていい。15番(本職のフルバック)をつけて10番の位置に入っている感覚でいいよ』と言ってくれた。ボールを持ったら思い切りいくことは試合で出せた。その辺はよかったです」
――自陣深い位置でボールを持った時、相手の狭い区画のスペースをえぐっていました。
「もともとそこに(比較的スピード勝負で勝てそうな)フォワードがいるなと思っていましたが、ボールをもらってキックしようとしたら、(当該の選手が防御ラインの一角ながら)全然、上がってきていなくて。これは行けるなと思い、勝負しました」
――今後は。
「特に言われてはいないですが、どこで出ても力を出せるよう、準備していきたいです」
――チームおよび個人は、大学選手権決勝までどう進化していくイメージか。
「早稲田大学はディフェンスで我慢して、我慢して…というチーム。反則をしないこと、横とつながることをもっと、できればいいと思っています。僕はポジションが確定していないので難しいところもありますが、いいプレーをすることでいい影響を与えられると思います。常にいいプレーをするためにどう動くかを考えてやっていきたいです。僕はランが強みなので、ボールタッチを増やす。ラストパスなど、得点に絡むことは増やしていきたいです。(練習では)しんどくなってもポジショニングを変えてボールをもらいに行ったり、スペースを探してそこへ走り込んだりと、そういう無駄走りは意識しています」
現在、複数のトップリーグ関係者が河瀬の加入を熱望する。かねてランナーとして期待されていたが、司令塔およびその他のポジションも経験すれば、存在感はさらに高まりそうだ。