白小豆餡も粒あんもどちらも食べたい!仙太郎「おまん」で存分に味合う二つのあんこのハーモニー
見た目の華やかさや色彩の豊かさというよりも、その季節に寄り添ったお菓子や体に優しい味わいが特徴的な和菓子を揃えるお店「仙太郎」さん。都内でも百貨店にテナントを構え、お彼岸などにはおはぎを求めに長蛇の列ができるほどの人気ぶり。
そのおはぎに使用されているあんこが美味しいのは知っての通り。そのあんこを使用したお菓子はおはぎだけではなく、お饅頭にも使用されています。けれども、そのお饅頭もまた独特なスタイルのものがあるというのをご存知でしょうか?
今回は仙太郎さんの大きな大きなお饅頭、「おまん」の粒あんをご紹介。
ちなみにおまん、という言葉。坂本龍馬を彷彿とさせる土佐弁にも聞こえますが、今回は室町時代初期に宮中の女官たちの間で流行った言葉、女房言葉からきています。女房言葉とは、様々な言葉の頭に「お」をつけるというもの。今でもその名残として、おかき、や、おなか、などがあげられます。
こんもりとしたやや青みを帯びた白い肌。山芋が配合された薯蕷生地特有の、まろやかで口にする前から旨味のようなニュアンスが漂う独特の香りがたまりません。いざ割ってみるとわかるのですが、大きさに対して皮は薄め。それでも主張しすぎずかといって薄すぎない芳香のバランスは流石です。
そしてたっぷりの餡子!これはもう和菓子好きな方であればうっとりしてしまうのではないでしょうか。ある程度皮目を確認できるような粒餡を包み込むのは白小豆あん。二種類の餡子を同時に味わえるとはなんて贅沢…。そんな気持ちと同時に、味が混ざってしまうのではないか。喧嘩してしまうのではないかという心配もあるかと思いますが、ご無用です。
サッと広がる白小豆あんのエレガントな味わいを楽しんだあと、ゆっくりゆっくりと頭角を現してくる素朴な粒餡。一般的な粒餡よりもやや慎ましやかな味わいに感じますが、むしろそこがこのおまんにぴったり。餡の違いは良質なコントラストとなり、後味は小豆の美味しさが口の中を静かに漂うお饅頭です。
お互いがぼやけてしまうのではなく、お互いを引き立て合う餡子というのもなかなか珍しい、そして新しい発見になるのではないでしょうか。すべての店舗で販売されているわけではないので、ぜひ遭遇した際にはお茶の時間のお供になさってみてくださいね。ちなみに私は東京都中央区銀座の「銀座三越」の店舗にて購入できました。