北海道、10月廃止の「JR標津線」廃止代替バス 中標津空港連絡バスと統合も航空便遅延に対応できず
2023年10月1日に廃止されるJR北海道・標津線の廃止代替バス(厚床駅前―中標津バスターミナル間約50)について、同路線を運行する根室交通は10月1日以降の交通体系を発表した。
発表によると10月1日から中標津―別海間は阿寒バスによる運行となり、中標津―厚床間については、これまで根室―中標津間で運行してきた中標津空港線にバス停を追加することにより対応を図るといい、一旦は交通崩壊の危機は免れることになったといえる。しかし、10月1日以降は、これまで中標津空港着の航空便が遅延した際の航空便の接続待ちには対応をしなくなるという。
これまで、中標津空港線では、航空便が遅延した際には接続待ちに対応し、最近では8月27日にも新千歳空港からの到着便への遅延接続を行っていた。
こうした状況に対して、影響を受けるのは中標津空港に17時15分に到着する新千歳空港便の利用者だ。もし、この便が遅延してしまうと、中標津空港到着後は、別海、根室方面へ向かおうとする利用者は足の確保がままならない状況になってしまう。
中標津―別海間は20km程度の距離であるが中標津―根室間は90km近く離れており、タクシーを利用するとしても相応の出費を覚悟しなければならない。しかし、現地をよく知る関係者によると「中標津空港は客待ちのタクシーがおらず基本的に予約対応となっていることから、場合によっては航空便が遅延した際にタクシーに乗れないケースもでてくるのではないか」と心配する。
周辺住民が中標津空港を利用する際には、直接、自家用車を空港に留め置いておけば問題は解決できるが、長時間のクルマの運転を嫌いこれまでバスを利用していた人たちも、新千歳空港からの帰りのバスアクセスが不確実という状況になれば、自家用車利用に切り変えざるを得ないケースも発生するだろう。
旧JR標津線は、釧網本線の標茶―根室標津間69.4kmの本線と根室本線の厚床―中標津間47.5の支線から成り立つ路線で、根釧原野の林産資源や鉱産資源の開発を目的に建設され、1937年に全通した。しかし、1980年に成立した国鉄再建法では、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化後の1989年に全線が廃止。廃止後は、標茶―根室標津間は阿寒バスの標津標茶線に、厚床―中標津間は根室交通の中標津線に引き継がれていた。
(了)