北海道「JR標津線」廃止代替バスも廃止に 免許がなければ移動できなくなる!?加速する公共交通崩壊危機
1989年に廃止されたJR北海道・標津線の廃止代替バスが2023年10月1日に廃止される。今回、廃止となるのは根室交通が運行する厚床駅前―中標津バスターミナル間の約50kmだ。
旧JR標津線はどんな路線だった?
旧JR標津線は、釧網本線の標茶―根室標津間69.4kmの本線と根室本線の厚床―中標津間47.5の支線から成り立つ路線で、根釧原野の林産資源や鉱産資源の開発を目的に建設され、1937年に全通した。しかし、1980年に成立した国鉄再建法では、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化後の1989年に全線が廃止。廃止後は、標茶―根室標津間は阿寒バスの標津標茶線に、厚床―中標津間は根室交通の中標津線に引き継がれた。
今回廃止となるのは、旧JR標津線の支線に当たる厚床―中標津間約50kmの路線バスであるが、2025年3月末には、旧JR標津線の本線に当たる標茶―西春別間約20kmの路線バスも廃止となる予定だ。
加速する道内バス路線の廃止・減便
警察庁が公開する運転免許統計によると、路線バスを運転できる大型2種免許保有者は、2023年度は83.3%が50代以上だ。前年の2022年度は80.9%が50代以上であったことから、この1年間で2.4ポイントも高齢化が進行し、バスドライバー不足が年々深刻化している。
2023年10月1日以降、北海道内では長大バス路線の廃止や減便が相次ぐ。主だったものとしては、旧JR天北線の廃止代替バス音威子府―浜頓別間約60kmや夕張市から札幌方面の約50kmを結ぶ夕鉄バスの広域バス路線の全路線が廃止となるほか、北海道中央バスなどが共同運行する都市間高速バスの高速はこだて号も便数が8往復から4往復に半減される。
2019年のJR石勝線夕張支線の「攻めの廃線」以降、札沼線や日高本線、留萌本線など道内の長大路線の廃止が加速しているだけではなく、この3月末で廃止された留萌本線ではその翌月に鉄道代替バスとされた沿岸バス留萌旭川線が存廃協議を行っていることを公表するなど鉄道を廃止した際の代替バスの確保すらままならないことが表面化している。加えて、国鉄末期からJR初期に廃止された鉄道廃止代替バスの廃止も加速し始めており、北海道では公共交通消滅の危機を迎えている。
政府は、高齢者の運転免許返納を政策として進めているが、北海道ではクルマを運転できなければ移動が出来ない社会となることが目前に迫っている。
(了)