「舞いあがれ!」メインライター再登板もリーマンショックをどう描く?
”朝ドラ”こと連続テレビ小説「舞いあがれ!」(NHK)は東大阪、長崎・五島、函館……と物語の舞台があちこち移り変わっていく。そのとき脚本家も変わることで環境の違いが明確になってきた。航空学校編で現実的なあれこれがめまぐるしく展開したのちの第12週「翼を休める島」は序盤を担当していたメインライター・桑原亮子が書き、再び五島でのゆったりとした情緒が戻ってくる。その一方で時代はリーマンショック。ゆったりしてもいられない?
不定期に行われている熊野律時チーフプロデューサーの取材会で、第12週の注目ポイントを聞いた。
熊野「舞(福原遥)が飛行機を飛ばすことに挑戦し成功や失敗を体験しながら新しいことを学んだ航空学校編が一区切り。第12週はリーマンショックが起こります。航空業界や製造業は大きな影響を受け、そこでいったん立ち止まらないといけなくなったとき、五島に戻った舞が祥子(高畑淳子)との再会などを通して、改めてこれからのことを考える週になります」
脚本は再び、メインライターの桑原亮子さんが担当します。
熊野「航空学校編という、ある種、非日常的な世界から、特別なことが何も起こらない日常に戻ります。そこは、桑原さんの得意な細やかな人と人との言葉のやりとりが生かされる場です。大きなテーマとして掲げている、舞がさまざまな人たちの気持をすくいあげる人物であるということに立ち戻る、物語全体のなかでもかなり大事な週になっていると捉えています。
航空学校編は嶋田うれ葉さん、佃良太さんが脚本を担当しましたが、桑原さんの構想をベースに、航空大学校への取材と並行して、嶋田さん・佃さんと一緒に9週~11週のプロットを先に組み立て、それを元に台本を執筆していただきました。例えば柏木(目黒蓮)が第9週の終わりに「おれはお前のことを…」と言いかけたところまで嶋田さんで、そのあとの第10週は佃さんが担当していましたが、柏木や大河内(吉川晃司)の行動はあらかじめ作ったプロットに基づいて執筆されています」
第12週の気になるポイントは?
◯リーマンショック
熊野「リーマンショックは、航空業界、製造業にダメージを与えました。コロナ禍の前に被った我々大きな困難であり、そこから舞がどうやって前に進んでいくのかは、舞を描くうえで大事だなと思っています」
◯博多エアライン
熊野「実際にはない航空会社です。架空の会社にする必要があったのと、博多にエアラインがあったら博多、五島便が出ることにリアリティがあると思いました」
◯猫
熊野「猫の声だけのときと猫が実際に出てくることがありますが法則があるわけではなく、演出として必要であれば出てくるということです」
第56回でみじょかカフェの前をうろつく黒猫はなかなか気になる存在感。この一瞬はなくても済むけれどあったら和む。演出家さん、よくぞ出してくれました。
※ネタバレの都合で残りは週後半にお届けします。
連続テレビ小説「舞いあがれ!」
総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り
BSプレミアム・BS4K:月~土 7:30〜7:45、出演:
福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、長濱ねる、哀川翔、目黒蓮、鈴木浩介/永作博美、高橋克典、高畑淳子 ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太