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リーダーの間違った行動力とは? 自動力よりも他動力が求められる時代

横山信弘経営コラムニスト
リーダーに必要な行動力は「他動力」だ(写真:アフロ)

あなたは誰よりも行動するリーダーですか?

リーダーとして一所懸命、がんばっている。チームのために誰よりも行動しているはずだ。あなたはそう思っていませんか。しかし、リーダーが汗をかけばかくほど、チームとしての成果が遠のくことがあります。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。現場に入るからこそ、民間企業のマネジャー(部長、課長、係長と呼ばれる方たち)と接することが多くあります。そのとき、私がマネジャーたちからよく耳にする言葉は、

「まずは私がやります」

「まず私がやらないと、部下は動きませんからね」

これです。

「率先垂範」を言い訳にしていませんか?

部下を動かすなら、まず自分が動かないといけない――という発想は理解できます。「率先垂範」の概念です。

ただ先述したとおり、私は絶対達成させるコンサルタントです。結果を大事にしています。「まず私がやらないと、部下は動きませんからね」と言った結果、部下は動いたのか。その結果を検証すべきです。

今の世の中、自分は動かすが、他者を動かせない人が急増しています。「率先垂範」と言いながら、自分だけ動くことの言い訳にしていないか、気になります。

リーダーの間違った行動力

動詞には「自動詞」と「他動詞」があるように、行動力にも「自動力」と「他動力」の2つがあります。自分を動かす行動力か、他者を動かす行動力か、ということです。

「いいよいいよ、俺がやっておくから」

「これは私がやるからもう帰っていいよ。明日、これとこれだけやってくれればいいから。よろしく」

あなたはこのように言っていませんか?

確かに行動力はありそうです。しかしこの行動力は、自動力のほう。自動力があまりにも強すぎると、部下たちは次第に動かなくなっていきます。

上司がこれだけ動いているのだから、

「私も手伝いましょうか?」

「それは私の仕事ですから、課長こそ先に帰ってください」

と部下が自主的に動くようになるだろう、なんて考えている人も多いようですが、それは単なる思い込みです。上司が話せば話すほど、部下が話さなくなるように、上司が動けば動くほど、部下は動かなくなります。

仕事に慣れた自分が動けばいいんだ。私はさほど負担を感じていない。たとえ負担であったとしても、チームのためになるなら喜んで汗をかこう……だなんて思っているリーダーがいたら、勘違いも甚だしい。

そんな考えでチームビルディングはできません。歪曲した自己犠牲観です。

山本五十六の名言に習おう!

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

有名な、山本五十六の名言です。

山本五十六の名言にあるように、「やってみせ」るだけではなく、「言って聞かせ」たのか。「させてみせ」たのか。部下を動かして「ほめて」やったのか。リーダーは常に自問自答すべきです。

仕事だけでなく、ボランティアやPTA、サークルやプロジェクト活動……。どんな場面でもそうです。リーダーになった以上、自動力よりも、他者を動かす行動力――「他動力」が必要です。

そんなに難しく考える必要はありません。

「一緒にやろうか」

「これを、明日までにやってくれないかな。よろしく」

このように、淡々と言えばいいのです。他者を動かすときのテクニックは、さほど重要ではないのです。

大事なことは、日ごろから相手に関心をもって接する「関係構築力」。相手とラポール(信頼関係)さえ構築できていれば、自然と「他動力」は身につきます。リーダーは自動力より他動力を意識していきましょう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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