あなたの家の周りにも山ほどいる身近なかわいい害虫その4=バラの最大の敵チュウレンジバチ
バラ園芸家の最大の敵は、チュウレンジバチ(チュウレンジハバチとも言う)、アカスジチュウレンジという2種類の小さなハチだ。幼虫が植物の葉を食べるハチの仲間をハバチと言う。チュウレンジバチはこのハバチの仲間の中でも、特に知名度が高い。バラ愛好家で、このハバチを知らないという者がいたら、その人は愛好家の風上にも置けない似非愛好家だろう。
素人園芸家は、庭のバラを食い尽くそうとしているイモムシを見つけた時、きっと蛾の幼虫だと思うことだろう。そして近くを飛び回っている黒っぽい小さなハチのことを、芋虫を退治してくれる正義の味方だと思うことだろう。
しかし、その小さなハチこそが大敵なのだ。チュウレンジバチの雌は、尻先の産卵管でバラの茎に切れ込みを入れ、その隙間に卵を山ほど産み付ける。
孵化した幼虫は集団行動が好きで、ひとかたまりになってバラの葉を食べ進む。やつらが大量発生する、あっという間にバラはボロボロにされてしまう。
この幼虫が発生しているかどうか確かめたければ、バラの茂みをゆすってみればいい。チュウレンジバチの幼虫は、危険を感じると、お尻を高くつき上げる習性があるので、大量発生していれば、バラの枝葉のあちこちで小さなイモムシが尻を突き上げる恐怖の光景(虫好きにとっては楽しい光景)が見られるだろう。
この尻上げの習性を利用して、幼虫の集団を見つければ、やつらを一網打尽にできるかもしれない。しかし、チュウレンジバチは年に3,4回も発生するらしいので、一度駆除したからと油断してバラの管理を怠っていると、大逆襲を受ける恐れもある。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)