Yahoo!ニュース

ハムやソーセージなどの加工肉の消費量の地域別傾向をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ハムやソーセージなどの加工肉はどの地域が一番多く消費しているのか(写真:イメージマート)

牛豚鶏などの精肉と比べ地域別消費動向の話題に上りにくいハムやソーセージなどの加工肉。その実情を総務省統計局の家計調査の公開値から確認していく。

今件の精査にあたり、商品ごとの価格差が大きいため、支出金額の精査は行わず、消費量のみを確認する。また家計調査の年報(直近分は2022年分)では総世帯と単身世帯において消費量の調査が行われておらず、値の抽出は不可能であることから、二人以上世帯に絞って消費量の動向を精査する。

なお家計調査における各加工肉の定義は次の通り。

・ハム…鳥獣肉を塩漬け後、香付けのためくん煙し、原則として湯煮などしたもの。ロースハム、プレスハム、生ハムが該当。魚肉ソーセージは魚肉練製品となるため該当しない。

・ソーセージ…鳥獣肉のひき肉を腸詰めにし、乾燥後、くん煙などしたもの。野菜入りなども含む。ソーセージと呼ばれているもの以外にウインナーやフランクフルト、サラミ、生ソーセージも該当する。

・ベーコン…鳥獣の腹肉などを塩漬け後、くん製にしたもの。

まずは大まかな状況確認のため、ハム・ソーセージ・ベーコンのおおよその相場を示しておく。

↑ 主要加工肉価格(二人以上世帯の調達価格、100グラムあたり/円)(2022年)
↑ 主要加工肉価格(二人以上世帯の調達価格、100グラムあたり/円)(2022年)

メーカー、種類、調理方法、販売地域など多様な条件で変動はあるが、おおよそ種類毎にこの程度の価格差が出ているとの認識ができる。

続いてハム・ソーセージ・ベーコンそれぞれの、年間消費量上位10位の都道府県をグラフ化し、状況を確認する。世帯単位での年間消費量を示したもので、例えばハム消費量トップの岐阜県なら、二人以上世帯限定だが2022年の1年間で1世帯あたり約3.57キロのハムを消費したことになる。なお3種類のグラフですべて縦軸の区分は揃えているため、それぞれの種類の重量差異を推し量ることもできる。

↑ 年間ハム消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間ハム消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

↑ 年間ソーセージ消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間ソーセージ消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

↑ 年間ベーコン消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間ベーコン消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

分量単価ではハムが一番高く、次いでベーコン、ソーセージの順だが、消費量ではソーセージが一番多く、次いでハムが入り、ベーコンは最後。販売種類数の違いや料理への応用度、食文化、さらには贈呈品としての利用のされやすさなどの点で、ベーコンは消費量がさほど多くはないようだ。

また地域別動向を見ると、ハムやソーセージは特段地域による傾向だった違いはなく、ベーコンは東日本が多めに見える。それゆえ、沖縄のベーコン消費量の多さは特筆もの。ジョールベーコンをはじめとしたベーコン、そして豚肉を好んで食べる文化が数字となって表れたものと考えられる。

グラフでは場所的把握がしにくいことから、それぞれの種類の消費量について全国平均を基準値とし、その基準値から多い少ないを計算して都道府県別に色分けをしたのが次の地図。薄い色ほど消費量は少ない地域となる。

↑ ハム消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)
↑ ハム消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)

↑ ソーセージ消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)
↑ ソーセージ消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)

↑ ベーコン消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)
↑ ベーコン消費性向(家計調査・二人以上世帯、都道府県別)(2022年)

ハムは近畿地方や関東地方、東北地方などでよく食べられている。他方、消費量が少ない地域は主に近畿より西側。ソーセージは地域による差異はあまりなし。どちらかといえば日本海側でよく食べられているようにも見える。そしてベーコンはおおよそ西日本から関東では少なく、東海地方と北日本では多く食べられている。ただし沖縄は上記の通り別枠で、ベーコンの消費量が多い。

牛豚鶏肉ほどではないが、加工肉においてもまた、地域による消費性向の違いが生じている。興味深い話ではある。

■関連記事:

【欧米の人たちがベーコンに恋焦がれる6つの理由……!?】

【小学生が好きな給食メニューは「から揚げ」「ハンバーグ」、苦手なものは……?】

【増える肉類、減る魚介類…主要食品摂取量の実情をさぐる(2020年10月発表版)】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事