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「首位打者」と「最高出塁率」は同じ打者が多いのか、違う打者が多いのか。昨年はセもパも同じ打者

宇根夏樹ベースボール・ライター
吉田正尚 AUGUST 2, 2021(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 昨年、鈴木誠也(広島東洋カープ)と吉田正尚(オリックス・バファローズ)は、各リーグで首位打者を獲得するとともに、リーグ最高の出塁率も記録した。鈴木の打率と出塁率は.317と.433、吉田は.339と.429。2人とも、首位打者は2度目だ。鈴木は、2019年も首位打者(.335)と最高出塁率(.453)。2020年の吉田は、打率.350が1位で出塁率.453は2位だった。この年のパ・リーグでは、近藤健介(北海道日本ハム・ファイターズ)が出塁率.465を記録した。

 どちらのリーグも出塁率の計算方法を「(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」とした1985年以降、首位打者と最高出塁率が同じ打者のシーズンは、セ・リーグが11度目、パ・リーグは15度目だ。その割合は、1985~2021年の37シーズン中、セ・リーグが29.7%、パ・リーグは40.5%。それぞれ、70.3%の26シーズンと59.5%の22シーズンは、首位打者と最高出塁率の打者が違った。

筆者作成
筆者作成

 1987年のセ・リーグで出塁率が最も高かったのは、首位打者を分け合った正田耕三篠塚利夫のどちらでもなく、落合博満だ。3人の打率と出塁率は、正田が.333と.387、篠塚が.333と.353、落合は.331と.435。落合の打率は2人に次ぐ3位に位置し、正田の出塁率も5位ながら、篠塚の出塁率は12位に過ぎなかった。

 1994年から2000年まで、7シーズン続けて首位打者のイチローも、1997年(打率.345/出塁率.414)と1998年(打率.358/出塁率.414)の2シーズンは、最高出塁率ではなかった。1997年のパ・リーグ出塁率1位は鈴木健(打率.312/出塁率.431)、1998年は片岡篤史(打率.300/出塁率.435)だ。

 イチローは、メジャーリーグでも2001年と2004年に首位打者を獲得しているが、この2シーズンを含め、メジャーリーグでは最高出塁率を記録していない。2001年(打率.350)の出塁率.381はア・リーグ14位、2004年(打率.372)の出塁率.414はア・リーグ2位だ。出塁率.400以上のシーズンは、2004年だけ。リーグ・トップ10にランクインしたのは、打率が9度、出塁率は3度だ。

 また、なかには、同じシーズンに首位打者と最高出塁率はないものの、違うシーズンにそれぞれという選手もいる。1985年以降は3人だ。ロバート・ローズの1位は、1997年の出塁率.444(打率.328=2位)と1999年の打率.369(出塁率.439=2位)。松井秀喜は、1998年の出塁率.421(打率.292=11位)、2000年の出塁率.438(打率.316=3位)、2001年の打率.333(出塁率.463=3位)、2002年の出塁率.461(打率.334=2位)。この2人は、首位打者も最高出塁率もセ・リーグだが、和田一浩は、2005年にパ・リーグで首位打者(.322)を獲得し、2010年にセ・リーグで最高出塁率(.437)を記録した。なお、2005年の和田の出塁率.397は3位、2010年の打率.339は4位だった。

 1950年以降のシーズン出塁率については、こちらで書いた。

「「シーズン出塁率」の歴代トップ20。半数は王貞治だが、現役選手も2人ランクイン」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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