ソウルは警戒レベルを上げ、東京は下げた! 日韓「コロナ感染状況」の比較
東京都が警戒レベルを1段階引き下げた。これにより午後10時までの営業時間短縮要請も9月15日をもって終了することになる。
一日も早く、いつもの日常に戻りたい、また一日も早い社会・経済活動の正常化を望んでいる都民の一人として歓迎したいが、正直、大丈夫だろうか?早すぎやしないか?との不安を拭い去ることができない。
新型コロナウイルス感染が日本でも1月に発生して以来、特に東京で最初の感染者が確認された2月以降、日本の感染推移を隣国・韓国の感染状況と比較しながらこれまでみてきた。
日本で最初の感染者が確認されたのが1月16日。9月10日現在累計で国内感染者は7万3947人。死亡者は1419人。一方の韓国は初の感染者が日本よりも4日遅れの1月20日で、9月10日現在で全国感染者数は2万1919人、死亡者は350人である。
また、東京都の最初の感染者は2月24日で、ソウルは1日早い2月23日。9月10日現在の累計感染者は東京が2万2444人で、ソウルは4589人。死亡者は東京379人、ソウル32人となっている。
日本の総人口(約1億2590万)が韓国(約5180万人)よりも約2.4倍も多く、また東京の人口(約1400万人)もソウル(約1000万人)よりも約400万人多いことを勘案しても、日本の感染者は韓国の約3.3倍、東京の感染者はソウルの約4.8倍である。また、死亡者も日本は韓国の約4倍、東京はソウルの約11倍も多い。
韓国が日本よりも、ソウルが東京よりも感染者数でも死亡者数でもはるかに少ないことはデーター上でも明らかだ。にもかかわらず、韓国のほうが日本よりも防疫対策の面では素早く、厳しく、より慎重である。
東京よりも感染者も死亡者も圧倒的に少ないソウルは8月16日に社会的距離の確保のレベル(1~3段階)を第2段階に引き上げている。その理由は一桁から二桁で推移していた感染数が増加し、前日の15日に146人と初の三桁に達したからだ。さらに24日に過去最多の154人の感染者が確認されたことから最高の第3段階に近い2.5段階に引き上げられている。
これにより、室内は50人以上、室外は100人以上が集まる会合、集会、行事はすべて禁止となり、展示会、コンサート、結婚式、同窓会、祝賀会、パーティ、講演、採用試験や資格試験なども禁止対象とされている。日本よりも2週間遅れの7月26日に観客を入れたばかりのプロ野球も僅か20日で無観客試合に舞い戻っている。
博物館、図書館、美術館など公共施設、社会福祉施設や児童館なども休館し、幼稚園と小・中・高校(高3だけは除外)及び特殊学校も8月26日から休園、閉校となり、オンライン授業に切り替えられている。会社はテレワークにシフトし、出社の場合は時差通勤を徹底させている。当然、市民の他道(県)への移動自粛も強いている。
最高レベルの第3段階となれば、10人以上の行事や会合が禁止され、すべての公共施設が閉められ、公衆浴場や学習塾、一般の飲食店、映画館、銭湯、サウナ、室内の体育施設、葬式場なども運営中止を余儀なくされる。レストランなども夜間営業を中止しなければならない。
先月(8月)22日から31日までのソウルと東京の感染者を比べると、ソウルの1212人に対して東京は1952人、直近の9月1日から10日まではソウルの646人に対して東京は1627人である。累計でソウルの1858人対して東京は3579人と、約1.9倍も多い。
この20日間、ソウルは150人(8月26日)を超えたのはたった1度しかなかったが、東京はそれよりも50人多い200人超えが6度もあった。まして、9月に入ってからはソウルは3日の90人が最多だったが、東京は5日にその倍の181人を記録し、昨日(10日)はなんと276人の感染者を確認している。どう比較しても東京の状況のほうが悪い。
本当に東京は警戒レベルを引き下げても、また10月1日から「Go Toトラベル」を解禁しても大丈夫なのだろうか?