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RIZINの野望…消滅したベラトールバンタム級GP日本開催プランの行方…堀口恭司は凱旋できるのか?

本郷陽一『RONSPO』編集長
堀口恭司の凱旋試合は実現するのか(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 総合格闘技団体「RIZIN」が攻めのビジネスを進めている。

 今年は、有料ネット配信に特化した「RIZINランドマーク」をスタートさせ、若手発掘に門戸を広げたオクタゴンマッチの「RIZINトリガー」、RIZIN沖縄大会まで開催した。

 来年は2月に最初の興行を打つ方向で「来年はむちゃくちゃ(の数の興行を)やりますよ」と榊原信行CEOも強気だ。数々のビッグプランも温めている。

 そのひとつが米国でUFCに次ぐ人気と実力を兼ねた総合格闘技団体「ベラトール」の日本大会の開催。RIZINバンタム級王者の堀口恭司の復帰戦をそこにセットしたいという腹だ。

 昨年の大晦日大会で朝倉海にリベンジを果たしてRIZINバンタム級のベルトを奪い返して以来、試合をしていなかった堀口は、12月3日に米国コネチカット州でベラトールバンタム級王者のセルジオ・ぺティスに挑戦し3ラウンドまで試合を完全に支配していながら4ラウンドに衝撃の裏拳一発で逆転の失神KO負けを喫した。

 そのタイトル戦前にベラトールは来年バンタム級ワールドGPを開催することを発表。8人の戦士の1人として堀口がエントリーした。上位ランカーが並び、もちろん、ベルトを防衛したぺティスも名を連ねている。

 ベラトールのスコット・コーカー代表は、1回戦の4試合を来春一気に開催する考えを示し、新型コロナの影響がなければ、東京ドームか、さいたまスーパーアリーナで開催するプランがあったことを「終わった過去の話」として明かした。

 その消滅したはずのベラトールバンタム級GPの日本開催プランを榊原CEOは「まだあり得る。僕はやりたいと思っている」と、継続中であることを9日の囲み会見で明言したのだ。

 12月30日に堀口の凱旋計画があった

 榊原CEOの説明によると、当初は12月30日にさいたまスーパーアリーナでベラトールの日本大会を開催し、そこでバンタム級GPの1回戦を行い、堀口の凱旋試合になる予定だったという。その試合は全米にショータイムで生中継され、翌日のRIZIN大晦日大会に突入するというビッグプラン。29日には同会場で、ボクシングのWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太対IBF世界同級王者のゲンナジ―・ゴロフキン(ウズベキスタン)の世紀の一戦も行われる予定だったので、格闘技ファンを楽しませる年末のスリーデイズになるはずだった。

 しかし、新型コロナの影響で頓挫した。

 榊原CEOは、ベラトールの日本大会開催は、来春に延期して大晦日大会に堀口を来場させて「ドカーンと(大会開催を)ぶち上げる」算段でいたが、それも叶わなくなった。おまけに堀口も失神KO負け。それでも榊原CEOは、堀口の復帰舞台をベラトールバンタム級GPとして日本に持ってくるビッグプランをあきらめていない。しかも、堀口の1回戦の相手は、ぺティスとのリベンジ戦にしたいという要望さえベラトール側に伝えているという。

 実現に立ち塞がる壁

 だが、実現に向けて超えなければならない壁がある。

 ひとつは、政府が世界的に拡大している「オミクロン株」の水際対策として打ち出した外国人の新規入国を禁止する措置がいつ解除され、隔離などの入国措置が、いつどれくらいの規模で緩和されるのか、という問題がある。

 ベラトールの日本開催となると、選手、スタッフなどを含めて総勢200人以上が米国からやってくることになる。来日後の隔離が3日間程度でおさまれば開催の可能性があるが、2週間を義務づけられれば難しくなる。

 もうひとつはベラトール側が堀口に科す出場禁止期間だ。ベラトールは、危険なKO負けを喫した選手に対して健康管理の観点から一定期間の出場禁止を通達している。「90日間は打たれると思うんです。もし180日間を打たれれば3月はない」と榊原CEO。なにより堀口の回復状況を見守らねばならない。

「こればかりは国の大きな規制がどうなるかによるところ。でも可能性はあきらめずにもう少し待ちたい」

 榊原CEOはギブアップしていない。

『RONSPO』編集長

サンケイスポーツの記者としてスポーツの現場を歩きアマスポーツ、プロ野球、MLBなどを担当。その後、角川書店でスポーツ雑誌「スポーツ・ヤア!」の編集長を務めた。現在は不定期のスポーツ雑誌&WEBの「論スポ」の編集長、書籍のプロデュース&編集及び、自ら書籍も執筆。著書に「実現の条件―本田圭佑のルーツとは」(東邦出版)、「白球の約束―高校野球監督となった元プロ野球選手―」(角川書店)。

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