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井上尚弥が見たい弟拓真の統一戦カードとは…バンタム級は日本人4人がタイトルを独占

本郷陽一『RONSPO』編集長
兄の井上尚弥と弟の拓真がWOWOWの収録後に囲み取材に応じた

プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(31)と、WBA世界バンタム級王者、井上拓真(28、共に大橋)が28日、WOWOWのエキサイトマッチSP(7月15日・午後9時より放送)の収録に初めて兄弟揃って参加したので取材に行ってきた。5月6日に東京ドームで行われたビッグマッチを2人で振り返るという企画。現在バンタム級の4つのベルトは日本人王者が独占。統一戦を熱望する拓真が誰と対戦するかが焦点となっている。兄が見たいカードとは?

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 兄は自分の試合をどう思っていたのか。

 拓真は兄がルイス・ネリ(メキシコ)を倒した5月6日の東京ドーム大会のアンダーカードで同級1位の石田匠(井岡)と指名試合を戦った。拓真も兄と同じく1ラウンドに左ジャブのカウンターでダウンを奪われた。

 尚弥は控室でバンテージを巻いている最中にモニターでそのシーンを見て「バンテージどころじゃなかった」という。

 だが、拓真は落ち着いてポイントを挽回し、逆転で判定勝利を手にした。この日の収録では、映像を見ながら兄からの“評論”が随所に入り「この試合について、そんな話をしたことがなかったので、色々参考になったし、楽しかった」と振り返った。収録では父の真吾トレーナーと拓真とののインターバル間の生々しい会話などボクシングファンにはたまらない裏話が次々と紹介された。

 拓真は2月24日にIBF世界スーパーフライ級王座を9度防衛している強豪のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との激闘を9回KOで制したが、短い試合間隔だったにもかかわらず「めったにないチャンス」の東京ドーム決戦に兄とW世界戦の舞台に立ちたいと熱望、V2に成功した。だが、さすがに次戦は、試合間隔をあけて、12月になる方向。

 そのV3戦の相手は、元日本バンタム級王者でWBA同級2位の堤聖也(角海老宝石)が最有力だが、その日本人対決をクリアすれば、その次には悲願の統一戦が待っている。

 WBO世界同級王座は、元K-1王者で同門の武居由樹のため対戦は不可能。必然的には選択肢は7月20日に両国での指名試合を控えているWBC世界同級王者の中谷潤人(M.T)かIBF世界同級王者の西田凌佑(六島)の2択になる。

 収録内では、リング誌が定めるパウンド・フォー・パウンドランキングに入っている中谷との対戦を求めるファンの声が多いことを伝えられ「でしょうね」と、その熱を感じていることを認めた上で、こう続けた。

「決まれば楽しみ。統一戦をしたい」

 では兄の尚弥が見たい拓真の統一戦カードは誰なのか。

 尚弥は「(拓真)VSですか?武居由樹ですか。まずそこ。以上です」と冗談から入って、メディアの笑いを誘った。

「僕の口からそんなこと言わせるんですか。めっちゃ安牌な答えを言っていいですか」

 そうエキスキューズをしてから「どちらも楽しみです」と返した。

「流れがあると思うんで、どっちと決まってもきっと楽しいファンが望む試合になると思う。WBC(中谷)もIBFチャンプ(西田)も強いですからね。(2人とも)同じサウスポー。どっちと決まってもいい試合になる」

 優等生の回答だったが、それを聞いた拓真も「お互いが勝ち進めばね。お互いが統一戦を望んでいる。決まれば楽しみな試合になる」とベルトの統一を目指す限り、順番がどうなろうと、2人とも撃破しなければならないという覚悟を口にした。

 9月の第1週に都内で予定されている尚弥とTJドヘニー(アイルランド)の防衛戦のアンダーカードでは東京ドーム決戦で王者になったばかりの武居とWBO1位に浮上した元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)が激突するKO必至の好カードが組まれる予定。武居もベルトの統一を目標に掲げており、大橋ジムでどちらが先にベルトをまとめるかにも注目が集まる。

「来週からスパーを始める。修正点はまだまだある。次の試合に直していく」

 拓真は前しか見ていない。

『RONSPO』編集長

サンケイスポーツの記者としてスポーツの現場を歩きアマスポーツ、プロ野球、MLBなどを担当。その後、角川書店でスポーツ雑誌「スポーツ・ヤア!」の編集長を務めた。現在は不定期のスポーツ雑誌&WEBの「論スポ」の編集長、書籍のプロデュース&編集及び、自ら書籍も執筆。著書に「実現の条件―本田圭佑のルーツとは」(東邦出版)、「白球の約束―高校野球監督となった元プロ野球選手―」(角川書店)。

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