東京の「寒の戻り」と「なごり雪」
天気の周期変化
日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、春らしい天気変化となっています。
天皇誕生日(2月23日)から振替休日(2月24日)は、移動性高気圧におおわれて晴れる所が多かったのですが、週半ばには本州の南岸を低気圧が通過するため、雨の所が多くなります(図1)。
その後、大陸からの高気圧が日本付近へ張り出し、今週末は再び南岸を低気圧が通過する見込みです。
今週末の南岸低気圧は寒気を南下させますので、全国的に「寒の戻り」になりそうです。
東京では、立春(2月4日)以降の立春寒波によって、最高気温と最低気温はともに平年を下回りましたが、多くの日は平年を大きく上回り、1月に続き、2月も暖冬になりそうです。
しかし、今週後半の2月27日(木)以降、再び平年を下回る予報です。
「寒の戻り」です。
立春寒波ほどではないのですが、4月並みの気温だったあとの寒気ですので、体感的には寒く感じると思います。
東京で雪の可能性は
上空約1500メートルで氷点下6度は、雨で降るのか、雪で降るかの目安として使われますが、2月28日夜の東京の上空約1500メートルの気温は氷点下6度です(図3)。
これは、降水現象があるとすれば、東京より北では雪として降り、東京より南では雨で降るということを示しています。
ウェザーマップの16日先までの天気予報のマークを見ると、天気が周期変化すると予報しています(図4)。
つまり、「お日さまマークと白雲(雨の可能性が少ない曇り)マーク」の日と、「黒雲(雨や雪の可能性がある曇り)マークと傘マーク・雪ダルママーク」の日が2~3日ごとに繰り返されています。
そして、2月29日は雪が降る可能性もあるという予報になっています。
東京では1月4日に霙(みぞれ)を観測し、初雪となったのですが、暖冬を反映して雨の日が多く、令和2年(2020年)1月1日から2月24日までの55日間に23日もあります。
これに対し、雪が少しでも降った日は、霙(みぞれ)の日や途中から雨に変わった日も含めても、5日しかありません(図5)。
気象庁の3か月予報では暖かい日が多いという予報ですので、2月29日に雪が降るとすれば、「なごり雪」の可能性があります。
なごり雪
「なごり雪」には、「春に入ってから降る雪」と、「春になっても消え残っている雪」の2つの意味があります。
気象用語に「なごり雪」という言葉はありませんが、対応する言葉というと、前者の「春に入ってから降る雪」に対応する「終雪(冬のシーズンで最後に降る雪)」になります。
東京の終雪を、明治10年(1877年)から平成31年(2019年)までの143年間で調べると、3月下旬が一番多く、最も早い終雪は、昭和48年(1973年)の1月15日です(図6)。
2月29日に終雪になったとすれば、かなり早い終雪ということになりますし、雪が降らずに、1月28日が終雪になったとすれば、史上2番目の早さということになります。
ただ、終雪は今冬が終わってからでないと確定しません。
ちなみに、東京で最も遅い終雪は、平成22年(2010年)などの4月17日です。
昭和49年(1974年)に伊勢正三が作詞・作曲し、後にイルカがカバーしてヒットした昭和の名曲「なごり雪」は、「春に入ってから降る雪」を歌っています。
東京の駅を舞台とし、少女から女へと脱皮する少女との淡い別れの歌ですが、伊勢正三によれば、モチーフとしたのは出身地である大分県津久見市の津久見駅とのことです。
津久見市付近の終雪は、東京の終雪より半月ほど早い3月上旬から中旬ですので、様々な別れが始まるときにつくられた歌といえるかもしれません。
ただ、北海道や東北から北陸の山沿いでは、終雪は4月に入ってからです。
また、流氷が接岸する北海道のオホーツク海沿岸では、終雪は5月にずれ込みますので、全国一律に、別れが始まる頃の歌ではありません。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図5、図6の出典:気象庁資料をもとに著者作成。