2060年には1億人割れを予想…日本人口の推移をさぐる(2023年公開版)
日本の高齢化の現状、さらには将来予想をまとめた「高齢社会白書」の最新版が内閣府から2023年6月に発表された。その公開資料から、日本の年齢階層別の人口の現状と今後の推移予想を確認する。
今白書では国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に2070年までの人口・年齢階層別構成推移を算出している。それによると2070年時点では全人口の38.7%が65歳以上(高齢者)となり、2022年時点の29.0%から9.7%ポイントも増える形となる。より高齢な75歳以上(後期高齢者)に限れば15.5%から25.1%と、9.6%ポイントの増加となる。
推計によれば日本の総人口は2060年には1億人を割り込み9615万人、その後もさらに減少を続け2070年には9000万人を切るとされている。そしてそのうち3367万人が65歳以上の高齢者。
高齢者人口そのものは団塊の世代との兼ね合いもあり、2045年でピークを迎えるものの、それより下の世代、そして総人口も減少をしているため、高齢者比率は増加。2035年にはほぼ3人に1人が高齢者、そして2070年には約2.6人に1人が高齢者となる。
高齢者の中でも65歳から74歳(前期高齢者)と75歳以上(後期高齢者)の比率・数の推移も、高齢化の内情を推し量る上では欠かせない。多くの統計では「65歳以上」でひとまとめにされることが多く、その内情までは分からないからだ。次に示すのはその区分を明確化した上で高齢者の人数と対全人口比率を示したもの。65歳以上人口の推移でも、中を見ると微妙な変移が起きているのが確認できる(なお高齢化率の算出に際して1950~2015年では年齢不詳を除外して計算している)。
高齢者人口のピークは2045年。以降は少しずつではあるが減少していく。一方で前期・後期高齢者比率は団塊の世代が後期に到達し始める2020年に逆転し、以降は「高齢者の中でも75歳以上の人数の方が多くなる」状況が継続することになる。2070年時点では「65~74歳」の2倍近くの数の、「75歳以上」の高齢者が存在する計算。見方を変えれば、全人口の1/4強が75歳以上となる。
極度な高齢化は生産や納税と福祉介護のバランスを崩し、社会構造の変革(生産人口比率の減少を伴う、このような高齢化の状況下では大抵において悪化を意味する)を強要されてしまう。負担が大きい若年世代が支えきれなくなるのは容易に想像ができる。とりわけ雇用や資産、社会保険料の観点で、現状ですでにその雰囲気が強い。少子化対策も合わせ「百年の大計」の言葉通り、先々を見据えた政策が強く求められるのは言うまでも無い。
■関連記事:
【日本の人口は2100年には7364万人…国連による日本人口の推移予想をさぐる(2022年公開版)】
【2050年には全世帯の4割突破…増える一人身世帯、高齢者単身世帯は約1000万世帯に】
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。