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ビーバーとダルビッシュの防御率1.50未満は、たとえ短縮シーズンでも球史に残るレベル!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
シェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ)Sep 6, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、シェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ)とダルビッシュ有(シカゴ・カブス)は、驚異的な防御率を記録している。それぞれの数値は、1.25と1.44だ。

「デッド・ボール・エラ」が終わり、「ライブ・ボール・エラ」が幕を開けた1920年以降、シーズン防御率が1.50よりも低かった投手(規定投球回以上)は、1968年のボブ・ギブソンしかいない。セントルイス・カーディナルス一筋にプレーしたギブソンは、この年、34試合に先発して304.2イニングを投げ、防御率1.12を記録した。

筆者作成
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 300イニングはもちろん、今シーズンのビーバーとダルビッシュは――おそらく、彼ら以外のどの投手もそうだが――100イニングにも届かないだろう。ここまで、ビーバーは9先発で57.2イニング、ダルビッシュは8先発で50.0イニング。ちなみに、今シーズンの規定投球回は、60.0イニングだ。1シーズンに60イニング以上を投げ、防御率1.50未満を記録した投手は、1920年以降、延べ67人を数える。

 ただ、彼らのほとんどはリリーバーだ。そのシーズンに1試合でも先発マウンドに上がった投手は4人。そのうち、登板の4分の1以上が先発だったのは、1944年に防御率1.34のレッド・マンガー(先発12試合/救援9試合)と1968年のギブソンの2人だ。

 なお、現時点で、シーズン防御率1.50未満の可能性があるのは、ビーバーとダルビッシュだけではない。ジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)は、48.0イニングを投げて防御率1.69。規定投球回に達するのに必要な、ここからの12.0イニングが自責点ゼロなら、その時点の防御率は1.35だ(12.0イニングで自責点1だと防御率1.50)。

 この他、防御率1.98のマックス・フリード(アトランタ・ブレーブス)と防御率2.05のトレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)は、どちらもあと16.1イニングを投げて自責点ゼロだと、防御率1.49となる(厳密に言えば、バウアーの方が低くなる)。フリードは故障者リストに入ったため、規定投球回に届かないかもしれない。現時点のイニングは50.0だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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