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プーチン訪朝も軍事偵察発射も韓国情報機関が予告した北朝鮮の海外テロも5月は見送りか!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
プーチン大統領と金正恩総書記(朝鮮中央通信から)

 今月も3分の2が過ぎた。今月中にあるかもしれないと囁かれていたロシアのプーチン大統領の訪朝も、軍事偵察衛星の発射も、そして韓国国家情報機関「国情院」が予告した第3国での北朝鮮のテロ行為にも動きはみられない。

 プーチン大統領の訪朝説は昨年9月に訪露した金正恩(キム・ジョンウン)総書記が口頭で招請した訪朝をプーチン大統領が受託し、翌10月にラブロフ外相が訪朝したことから昨年中に実現するものとみられていたが、的外れだった。

 しかし、年が明けた今年1月に崔善姫(チェ・ソンヒ)外相が訪露し、大統領官邸を訪れ、プーチン大統領に面談し、改めて訪朝を招請し、これにプーチン大統領が快諾したことから訪朝は時間の問題とされていた。

 特に、韓国の一部メディアはプーチン大統領が訪中(5月16日)前後、特に17日にハルピンを訪れた帰途、平壌に立ち寄るのではと予測する向きもあったが、結局、これも肩透かしに終わった。

 それでもプーチン大統領の訪朝についてはロシアのペスコフ大統領報道官が18日、「北朝鮮訪問の準備が進んでいる」と発言していたことやプーチン大統領自身も18日にアレクサンドル・コズロフ天然資源環境相から露朝経済、人的交流に関する報告を受けていたことから訪朝の日程を立てているのは間違いない。但し、それが5月中に実現するか、不透明だ。仮にプーチン大統領が訪朝すれば、2000年以来実に24年ぶりとなる。

 軍事偵察衛星については、3月28日に「衛星発射場に覆いが設置された」との報道があったことから金日成(キム・イルソン)主席の生誕日である「4月15日」が有力視されていたが、発射はなかった。

 さらに、4月下旬に北西部の東倉里にある「西海衛星発射場」で液体燃料式ロケットのエンジン燃焼実験が行われたことから5月には発射されると韓国国防部は今も警戒しているが、まだ発射の兆候は見られない。

 北朝鮮は昨年2度の失敗を含め計3度軍事偵察衛星を打ち上げていたが、3度とも海上保安庁に事前通告している。

 1回目は5月29日に「5月31日から6月11日の間に打ち上げる」と通告し、2回目は8月22日に「8月24日から31日までの間に打ち上げる」と通告し、そして成功した3度目は11月21日に「11月22日から12月1日にかけて発射する」と通告していた。

 仮に5月中に発射を計画しているならば、北朝鮮は今後、1週間以内に国際海事機関(IMO)や海上保安庁に事前通告しなければならない。

 もう一つ気になるのは、韓国の情報機関(国情院)がゴールデンウイークの最中の5月2日に北朝鮮が瀋陽、ウラジオストク、ベトナム、カンボジア、ラオス、この他に中東で韓国大使館職員や韓国人を狙ったテロを計画している」との情報である。

 韓国政府は首相を補佐する行政機関である韓国国務調整室対テロセンターで2010年3月の哨戒艦「天安艦」爆沈以来14年ぶりに「テロ対策実務委員会」を開催するなど警戒態勢を敷いている。

 北朝鮮の海外でのテロで思い出されるのは全斗煥大統領(当時)を狙った1983年のラングーン爆弾テロ事件と1987年の大韓航空機爆破事件の2件だが、今回のテロ計画は続出する北朝鮮エリートらの脱北は「韓国情報部員らの仕業である」と、金総書記に虚偽の報告を行っている海外派遣特殊機関要員らによる報復の一環として計画していると説明していることから大使館施設の爆破や職員らの拉致、暗殺などが想定されている。

 「国情院」の予告からすでに3週間近く経つが、まだどこからもテロ発生の報告はない。

 この分だと、軍事偵察衛星の発射やプーチン大統領の訪朝ともども来月に持ち越されることになりそうだ。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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