蔵王の樹氷が示すこの冬の寒気の強さ
樹氷とは
冬になると、宮城県と山形県にまたがる蔵王連峰では、アオモリトドマツなどの常緑樹に氷と雪が付着して樹氷ができます。この樹氷は単に雪が降るだけではできず、十分な量の水蒸気・それが木々に激しくぶつかるだけの強風など様々な条件が必要とされています。世界的に見ても貴重な現象で、その見た目から海外では「スノーモンスター」と呼ばれたりもしています。
近年は暖冬などの影響により細々とした出来のことが多かったのですが、12日(土)にその様子を見に行ったところ今年はまさに「モンスター」と呼べる姿を見せてくれていました。樹氷鑑賞ツアーを行っているすみかわスノーパークによると、今シーズンの樹氷は少なくともここ7~8年では最大規模だろうとのことです。それだけこの冬の東北地方は強い寒気に覆われ続けています。
寒気に覆われ続けている北日本
下のグラフは高層観測を行っている秋田市の上空約1500mの気温を表したものです。昨年12月の前半は季節の歩みが遅かったものの、12月下旬からは一転して平年より気温の低い日が多くなりました。特にクリスマス後と年末年始は強い寒気が流れ込み、蔵王の樹氷もここで一気に成長したとのことです。
また昨年などは、寒い冬のさなかであっても寒気が極端に弱まる日が1日や2日はありました。そうした日には上空約1500mで観測される気温もプラスになり、対応するように蔵王の樹氷が一旦崩壊することもありましたが、今シーズンはずっと氷点下の気温が維持されています。このため樹氷も見事な成長ぶりを見せてくれているものと思われます。
今後の寒気の見通しは
ここ数日は、年末年始の頃に比べると上空の寒気は弱まっていますが、今週後半や来週には再び強い寒気が日本付近にやってくる予想です。
東北地方においても日本海側を中心に再び雪が降りやすくなり、寒さもまだもうしばらく続くでしょう。また、あす15日(火)や20日(日)前後には本州の南に低気圧が発生する見込みで、太平洋側である宮城県の平地においても雪の降る可能性があります。
スノーモンスターにとっては好条件とも言える今シーズンですが、もうしばらく寒さと雪への備えが必要です。