メルペイ分割払い手数料「最大6ヶ月無料」、でも恒久化はしない理由
メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」が、一部加盟店において分割払いの手数料を最大6ヶ月間無料とするキャンペーンを開始。コロナ後の「リベンジ消費」需要の取り込みを狙います。一方、手数料無料を恒久化する予定はないそうです。
メルペイの後払いサービス「メルペイスマート払い」には、クレジットカードの翌月一括払いに相当する「翌月払い」と、リボ払いに相当する「定額払い」の2種類があります。後者の定額払いにはリボ払いと同水準となる年率15%の手数料がかかります。
今回のキャンペーンは、その定額払いの手数料が一部加盟店において最大6ヶ月間無料になるというもの。国内では9月30日の緊急事態宣言解除後、消費傾向がコロナ前と比べても10%多い「リベンジ消費」が始まっていることから、約1ヶ月間のキャンペーンで需要を取り込む構えです。
最大6ヶ月間の手数料はメルペイ側が負担。加盟店としては10社が参加し、旅行やグルメ、スポーツ用品に加え、年末に需要が増える「ふるさと納税」にも対応。加盟店にとっては後払い対応により機会損失を減らせるだけでなく、女性客が半分を超えるというメルペイスマート払いにより新規顧客獲得も期待できるといいます。
説明会には格安航空券の予約サイト「エアトリ」取締役COOの王伸氏が登壇。最大の狙いとして、来春の卒業旅行需要を挙げました。「旅行に行きたいので支払いを待ってほしいという問い合わせが増えているが、学生にはクレジットカードはハードルが高い。メルペイなら3万円の航空券を6ヶ月間、毎月5000円ずつ支払える」(王氏)。
エアトリによれば国内旅行需要は8月の感染拡大で落ち込んだものの、10月からは2020年の「Go To トラベル」期間を上回る勢いで回復しているとのこと。Go To トラベルは2022年2月の再開が期待されることも考慮しつつ、サービス拡充を進めていくそうです。
定額払いの手数料無料、恒久化はあるか
今回、メルペイは約1ヶ月のキャンペーンとして分割払いの手数料を無料化しましたが、気になるのは他社の後払いサービスとの違いです。世界的にBNPL(Buy Now, Pay Later)の略称で盛り上がる後払いは、手数料無料による3〜4回の分割払いが主流です。
分割払いを手数料無料で提供できる背景には、加盟店側が手数料を負担する仕組みがあります。この点についてメルペイ取締役COOの山本真人氏は、「お客様向け手数料を無料化する予定はない。分割のニーズは3〜4回だけでなく長いものもある。そのすべてを加盟店に負担いただくのは難しい」と否定しています。
一方、メルペイの手数料以外のメリットとして、「日本では支払いの管理がしやすいこと、精算に柔軟性があること、アプリの使い勝手にも魅力を感じてもらえている」(山本氏)と、サービス品質を高めていく方向性を示しました。
今回のキャンペーンについては、6ヶ月以内に分割で払えるなら利用したほうがおトクでしょう。卒業旅行までにお金を貯めるという方法では、空席がなくなったり値上がりしたりする可能性が高く、分割払いで「時間を買える」のは魅力です。ただし通常時の手数料は年率15%と高いことに注意が必要です。