この三塁手が得た契約の総額は、それまでの球団最高額の2倍以上。それでも安い!?
開幕の前日に、クリーブランド・ガーディアンズは、ホゼ・ラミレスと5年1億2400万ドル(2024~28年)の延長契約を交わしたらしい。ESPNのジェフ・パッサンらが、そう報じている。
5年前に締結した5年2600万ドル(2017~21年)の延長契約には、2年分の球団オプションがついていた。ガーディアンズは、昨シーズンの終了直後に2022年のオプション(年俸1200万ドル)を行使。さらに、今回の延長契約と同時に、2023年のオプション(年俸1400万ドル)も行使したという。ここから7年(2022~28年)の総額は、1億5000万ドルとなる。
2022~23年の計2600万ドルを含めなくても、ラミレスの契約は、総額の球団記録を塗り替える。それまでの最高額は、エドウィン・エンカーナシオンの3年6000万ドル(2017~19年)だった。
もっとも、これは、インディアンズ(現ガーディアンズ)の最高額が少なかったことに起因する。30球団のうち、総額1億ドル以上の契約を交わしたことがない――ガーディアンズはそうではなくなった――のは、カンザスシティ・ロイヤルズ、シカゴ・ホワイトソックス、オークランド・アスレティックス、ピッツバーグ・パイレーツの4球団だけだ。
ガーディアンズに続き、パイレーツも最高額を更新したようだが、こちらは1億ドルに達していない。ファンサイディッドのロバート・マリーらによると、キブライアン・ヘイズと8年7000万ドル(2022~29年)の延長契約を交わしたという。それまでの最高額は、ジェイソン・ケンドールの6年6000万ドル(2002~07年)だった。
また、インディアンズが提示した最高額は、ラミレスに対する延長契約ではないようだ。昨年1月、インディアンズは、4選手と交換に、フランシスコ・リンドーアとカルロス・カラスコをニューヨーク・メッツへ放出した。その際、MLBネットワークのジョン・ヘイマンは、インディアンズはリンドーアに総額2億ドル以上の延長契約を申し出て、それを断られている、と報じた。
リンドーアは、昨シーズンの開幕直後に、メッツと10年3億4100万ドル(2022~31年)の延長契約を交わした。この総額も、それまでの球団最高額、デビッド・ライトが手にした8年1億3800万ドル(2013~20年)の2倍以上だ。
現在の年齢は、リンドーアが28歳、ラミレスが29歳。2人ともスイッチ・ヒッターで、それぞれ、遊撃と三塁を定位置とする。下の表は、彼らがメジャーリーグに定着した2016年以降の成績を、3シーズンごとに合計したものだ。
各シーズンのOPSも、2016~21年の6シーズン中、ラミレスがリンドーアより低かったのは、2019年の1度しかない。年齢とポジションに加え、契約の長さとそれがスタートする年も違うので、比較は難しいものの、リンドーアの10年3億4100万ドルと比べると、ラミレスの5年1億2400万ドルは安い気がする。リンドーアと同じく、ラミレスの契約総額も球団最高額の2倍以上だが、ガーディアンズではなく、ビッグ・マーケットに本拠を置く球団にいれば、さらに高額の契約を手にすることができたのではないだろうか。
なお、今オフに契約総額の球団記録を塗り替えたのは、ラミレスとヘイズだけではない。テキサス・レンジャーズの最高額は、アレックス・ロドリゲスの10年2億5200万ドル(2001~10年)→コリー・シーガーの10年3億2500万ドル(2022~31年)、アトランタ・ブレーブスは、フレディ・フリーマン(現ロサンゼルス・ドジャース)の8年1億3500万ドル(2014~21年)→マット・オルソンの8年1億6800万ドル(2022~29年)、タンパベイ・レイズは、エバン・ロンゴリア(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の6年1億ドル(2017~22年)→ワンダー・フランコの11年1億8200万ドル(2022~32年)となった。
各球団の最高総額については、昨シーズンの開幕直前に、こちらで書いた。