ワイパーがビビるようになったから交換しないと……、ちょっと待って!それ簡単に直せるかも知れません。
クルマの消耗部品のひとつに、ワイパーのゴムがあります。古くなってくると、筋状の拭きムラができたり、拭く際にガタガタとゴムが跳ねる「ビビり」が起きるようになります。ワイパーゴムの劣化具合は、ワイパーの使用頻度や駐車環境(屋根付き駐車場か露天駐車か)などでも変わってきますから、一概にどれくらいで交換するべきかを断言することはできませんが、日本ワイパーブレード連合会では、半年に1度の点検と、年に1度の交換を推奨していますので、参考にされると良いでしょう。
ワイパーの”寝癖”がビビりの原因だった!?
ところが、業界団体の推奨値である1年を経過しなくても、ビビりが発生することがあります。その原因のひとつが、ワイパーゴムに付いた”寝癖”です。
一般的なクルマのワイパーは、拭き終わったらフロントガラスのいちばん下で止まります。ワイパーゴムは進行方向に対して傾きながら移動しますから、停止位置ではいつでも同じ方向に傾いたまま、ガラスに押しつけられています(言葉で書いてもわかりにくいので、以下の写真を参考にして下さい)。
この状態が長く続くとどういうことが起きるかというと、ワイパーゴムに”寝癖”が付いてしまうのです。実際、このワイパーをガラスから浮かせて撮影したのが、つぎの写真です。
これはまだ”寝癖”が軽いほうなので、上方向に動くときには傾きが反転するため、ビビりは発生していません。しかし、これが重症になってくると、傾きが反転しなくなってビビりが発生するようになります。犬や猫を撫でるとき、毛並みと反対向きに撫でると手が引っかかるのと同じ理屈です。
ならば、どうしたら良いかというと、寝癖が反対になるように、ときどき置き直してやれば良いのです。ワイパーブレードは簡単に持ち上げられるようになっていますから、ガラスから少し浮かせて、”遊び”の範囲で下方向に動かし、ガラスに当ててから”遊び”を使って少し上に動かします。こうすればゴムの傾きは逆になり、寝癖を戻す方向に力が働くようになります。
長いワイパーブレードの場合、”遊び”の利用だけではうまく反転させられないこともありますが、そういう場合は端のほうから撫でるようにしてゴムを反転させるとか、新聞紙を挟んで下に引き抜くなど工夫してください(ゴムだけ交換できるなら、ゴムを抜き取って逆向きに入れるという方法もあります)。
最近では自動反転して停止するワイパーも!
近年ではこのような作業が必要ないよう、ワイパーを使用した数回ごとに、わずかに反転してから止まるように工夫をしたものも出てきています。ですから、自動車メーカーもその効果を認識しているということでしょう。ただしこの方法で直らなかった場合、早めに交換することをお勧めします。
また、この方法でビビりが直るのは、原因が”寝癖”だった場合だけ。撥水剤の使用で摩擦係数が高くなっているなど、要因が別にある場合には、効果は期待できません。