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最長505フィートのホームランを打った「飛ばし屋」がパドレスに入団。ただし、マイナーリーグ契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノマー・マザーラ Jun 30, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ノマー・マザーラが、サンディエゴ・パドレスとマイナーリーグ契約を交わした。MassLive.comのクリス・コッティーロが最初にツイートし、続いて、サンディエゴ・ユニオン-トリビューンのジェフ・サンダースらも報じている。

 今から2年前の6月21日に、マザーラは特大のホームランを打った。スタットキャストによると、推定飛距離は505フィート(約153.9m)。これは、2015年以降の「スタットキャスト・エラ」における、最長のホームランだ。ジャンカルロ・スタントン(現ニューヨーク・ヤンキース)が、マイアミ・マーリンズ時代の2016年8月6日に記録した、504フィート(約153.6m)を上回った。

 他にも2本、マザーラは大きなホームランを記録している。2016年5月25日の491フィート(約149.7m)と、2019年3月28日の482フィート(約146.9m)だ。480フィート(約146.3m)以上のホームランが3本は、「スタットキャスト・エラ」の最多。ちなみに、2位タイの2本は8人。そのうちの半数、スタントン、アーロン・ジャッジジョーイ・ギャロゲリー・サンチェスは、現在、ヤンキースに在籍している。

 ただ、マザーラのシーズン本塁打は、20本を超えたことがない。テキサス・レンジャーズ時代は、メジャーリーグ1年目の2016年から3シーズン続けて20本ずつのホームランを打ち、4年目の2019年は19本。ここ2シーズンは、それぞれ、シカゴ・ホワイトソックスとデトロイト・タイガースでプレーし、計92試合で4本に終わった。今シーズンは、7月下旬に解雇された。

 パワーはあるのだが、ホームランを量産するには至っていない。シーズン四球率は6~8%台を推移し、出塁率は、最も高かった2017年でも.323にとどまる。外野の守備も、肩は強いものの、名手というよりは並みかそれ以下だ。

 パドレスのA.J.プレラーGMは、マザーラがプロ入りする前から、彼のことを知っている。10年前にマザーラがレンジャーズに入団した当時、プレラーはレンジャーズにいた。マザーラの母国であるドミニカ共和国も、プレラーの担当範囲だった。

 マザーラは、来年4月で27歳。ここから開花する可能性は、まだある。ロックアウトが終わってから、パドレスは他に外野手を手に入れるかもしれないが、現時点のメンバーなら、出場機会は得られそうだ。少なくとも、控えの外野手としてロースターに入れるだろう。

 外野の両コーナーにいるのは、ジャリクソン・プロファーウィル・マイヤーズだ。この2人のうち、マイヤーズは、2016年の28本塁打と2017年の30本塁打に加え、2020年は55試合で15本のホームランを打っている。だが、プロファーのシーズン最多は、2018年と2019年の各20本だ。キャリア・ハイの本数は同じながら、レンジャーズでチームメイトだったマザーラほどのパワーはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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