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"プリンス"ナジーム・ハメドの息子がプロデビュー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
確かに父はスター王者だったが…(写真:ロイター/アフロ)

 8月26日、ポーランドでWBA/IBF/WBOヘビー級チャンピオンのオレクサンドル・ウシクが、WBA同級正規王者のダニエル・デュボアと戦う。

現地時間7月13日に行われたウシクvs.デュボアの記者会見
現地時間7月13日に行われたウシクvs.デュボアの記者会見写真:ロイター/アフロ

 その前座にアーダム・ハメドという23歳のデビュー戦が組まれた。かつてWBO、IBF、WBCでフェザー級タイトルを獲得した英国人ファイター、ナジーム・ハメドの息子である。対戦相手もウエイトも発表になっていないが、セミファナルでのファイトが予定されているとのことだ。

イベンダー・ホリフィールドと記念撮影するナジーム・ハメド
イベンダー・ホリフィールドと記念撮影するナジーム・ハメド写真:ロイター/アフロ

 変幻自在のボクシングで一世を風靡したハメド父は、同じ時期に統一ヘビー級王者だった同胞のレノックス・ルイスの人気を遥かに凌ぐスターだった。

 7月13日にロンドンで行われた「ウシクvs.デュボア」の記者会見に出席したハメド父は、丸々と太った体でマイクを握り、話した。

 「この場所に来られてとても嬉しい。フランク・ウォーレンという古くからの知り合いのプロモーターとも再会を果たせた。フランクは私にとって、決して老人ではない。彼との仕事は素晴らしいものだったし、最高のプロモーターだと確信している。アーダムに素晴らしい機会を与えてもらった。

 この興行のプロモーターに感謝したい。息子のスキルを披露する大きな大きなチャンスだ。息子は自信を持っているし、長い間トレーニングを積んできた。メディアの皆さんにとっては、私たち親子の登場が大きな驚きだったに違いない。

2001年4月7日にマルコ・アントニオ・バレラに敗れ、ナジーム・ハメドのボクシングは壊れた
2001年4月7日にマルコ・アントニオ・バレラに敗れ、ナジーム・ハメドのボクシングは壊れた写真:ロイター/アフロ

 私は父親であることに誇りを持っているし、自分自身と息子の能力は非凡だと感じる。アーダムはリングインの際、ロープを掴んでトンボをきったりせず、基本に忠実に自らの実力を見せてくれることを楽しみにしている。

 息子はボクシング界にとって、未来のスターだと心から信じる。私にとっては新鮮な空気を吸うようなものだ。心が躍るよ。アーダムのためにこの試合をセットしてくれた方々に、心からお礼を述べる」

バレラに0-3の判定で敗れた後、1試合こなしてリングを去ったハメド
バレラに0-3の判定で敗れた後、1試合こなしてリングを去ったハメド写真:ロイター/アフロ

 おそらくアーダム・ハメドの相手は咬ませ犬だろう。メインイベントでヘビー級3冠タイトルの防衛を目指すウシクは、ウクライナ国民の希望の灯を消さない為に戦う。セミファイナルが見世物マッチにならないことを祈る。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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