「血圧高め」のあなた「ビタミンEを摂りすぎて」いませんか?1万人超を6年観察【最新情報】
仕事のストレスや運動不足で上りがちな「血圧」。家庭で測って「上が135以上」、「下が80以上」のどちらかで「高血圧」と診断されます。
サブリが血圧を上げている?
そうならないよう皆さん、いろいろな工夫をされているでしょう。そんなあなたに今回は、「ビタミンEの摂り過ぎには注意しましょう」という論文です。ビタミンEの摂り過ぎがかえって高血圧になる危険性を高めている可能性があるのです。少し前ですが1月6日、「ハイパーテンション・リサーチ」(高血圧研究)という、日本高血圧学会の学術誌に掲載された研究をご紹介します。報告したのは南方医科大学(中国)Yanjun Zhang氏たちです。
1万2千人を6年間観察した医学データ
Zhang氏たちが解析対象としたのは、中国の高血圧ではない1万2千名強です。観察開始時のビタミンE摂取量別に、その後高血圧を発症する危険率を比較しました。
すると約6年間で34%の人が高血圧と診断されました。そしてビタミンE摂取量は少なすぎても多すぎても、高血圧になる危険が高くなることが分かりました。そして高血圧になる危険度が一番低くなるビタミンE摂取量は、およそ20〜40mg/dLという結果でした(下図)。
1日ビタミンE摂政量が40mgを超えると高血圧発症リスクが増加
つまり1日ビタミン摂取量が「20〜40mg/dL」以下でも以上でも、血圧は上がりやすかったのです。そして注意したいのは、これがビタミンEサプリを飲むとすぐに超えてしまう値だという点です。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(厚生労働省)は成人のビタミンEの摂取上限を800〜950mg/日としています。けれど血圧のことを考えるならば、もっと上限は低くて良いのかもしれません。
もちろんこのデータからは「ビタミンEの摂りすぎそのものが高血圧リスクを高める」のか、「ビタミンEが上がるような食生活の人は高血圧になりやすい」のか判別できません。しかし少なくとも「頑張ってビタミンEを摂種する必要はなさそうだ」とは言えそうです。
まとめ
いかがでしたか?ビタミンE摂取量が1日40mgを超えると高血圧になりやすいという研究をご紹介しました。「身体のために良かれ」と思って続けているサプリで血圧が上がっていたら、本末転倒ですよね。「ビタミンサプリを飲んでいるのに血圧が高め」という人は、見直した方が良いかもしれません。
サプリ、そして高血圧予防については以下のような論文紹介記事も書いています。こちらも是非、ご覧ください。
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ではまた!
今回ご紹介した論文
ビタミンEは少なすぎても多すぎても高血圧の危険性が高まる [英語]
【注意】本記事は最新の医学論文についての紹介あり、研究結果の内容はあくまでも「論文筆者」によるものです。また論文の解釈は論者により異なる可能性もあります。あくまでもご自身の見解形成の参考としてお読みください。