パリSGの「ネイマール・システム改訂版」と、バイエルンの「新型3-4-3」 戦術スタイルの激突とは。
チャンピオンズリーグは、面白い。
なぜかと言えば、戦術のスタイルが激突するからだ。スペイン、ドイツ、イングランド、イタリア、フランス...。現代フットボールにおいては、各国の指揮官と選手が入り交じるというのが常態化している。
今回はアトレティコ・マドリー(スペイン)を率いるディエゴ・シメオネ監督(アルゼンチン人)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を率いるハンジ・フリック監督(ドイツ人)、パリ・サンジェルマン(フランス)を率いるトーマス・トゥヘル監督(ドイツ人)、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を率いるオーレ・グンナー・スールシャール監督(ノルウェー人)に焦点を当てたい。
■バイエルンの新型3-4-3
まずは、アトレティコ対バイエルンの一戦だ。
バイエルンの【3-4-3】に対して、アトレティコが【4-4-2】で臨むという構図だった。
アトレティコはジョアン・フェリックスとコレアが2トップ。サイドハーフのジョレンテとかカラスコが連動できるかどうかが見所だった。特にカラスコが最近の試合でウィングバック的になってきており、リーガエスパニョーラ第10節バルセロナ戦(1-0)では5バックの左ウイングバックに入っていた。バイエルン戦では【4-4-2】の左サイドハーフだったが、彼がウィングバック的に機能していたというところもポイントだった。
それに対してバイエルンは攻撃の時に【3-1-4-2】または【3-4-3】を使い分けながらポゼッションしてチャンスを作ろうする。
とりわけ61分の選手交代後のバイエルンは見応えがあった。
3バックはリュカ・エルナンデス、アラバ、ジューレ、中盤にサネ、ムシアラ、ミュラー、リチャーズ、前線にドグラス・コスタ、シュポ・モティング、ニャブリ。これが後半の途中から使われてきたメンバーで、ここからのバイエルンは非常に面白かった。というのも、形としては【3-4-3】を継続しているのだが、誰がどのポジションに移動してもいい。その「ルール」が、ボール保持時の攻撃の流動性をバイエルンにもたらしていた。
もう少し詳しく解説したい。例えば右ウィングのニャブリが中盤のところに降りてくる。その時、右WGのポジションが空く。ここに中盤からミュラーが出て行く。すると、空いていたポジションが埋まり、【3-4-3】の形がキープされる。
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