なぜバルサは好調なのか?ヤマルの躍動とD・オルモの適応…ハンジ・フリックの野心。
開幕から、勝利に勝利を重ねている。
バルセロナが好調だ。リーガエスパニョーラ開幕から、4試合で4連勝。先の試合では、本拠地モンジュイックでバジャドリー を相手に7−0と大勝した。
■補強とギュンドアンの退団
バルセロナは、今夏、ダニ・オルモを獲得。移籍金5000万ユーロ(約80億円)でライプツィヒと合意して、カンテラーノの復帰が決定した。だが財政が厳しいクラブは、毎度、マーケットが開くたび、補強の敢行後、選手登録に苦しめられる。D・オルモとて、例外ではなかった。
最終的にはアンドレアス・クリステンセンの負傷を受け、D・オルモの選手登録が完了した。しかしながら、その流れで、イルカイ・ギュンドアンが退団。「難しい状況で出て行くことになる。でも、経済的にクラブを助けられるなら、悲しみは半減だ」とはギュンドアンのコメントだ。
ギュンドアンの移籍が経済的な側面によるものだったのは確かだ。だが理由はそれだけではない。
この夏、新たに就任したハンジ・フリック監督は【4−2−3−1】を基本布陣にしている。そのトップ下のポジションにおいて、優先順位が高かったのはD・オルモ、ペドリ・ゴンサレスだった。
ギュンドアンは昨季、バルセロナでのファーストシーズンで、51試合に出場して5得点14アシストをマークした。シャビ・エルナンデス前監督の下、全幅の信頼を寄せられ、バルセロナの攻撃を操っていた。
ただ、ハンジ・フリック監督は前線からのプレッシング、ショートカウンターを好む。アタッカーたちにも、守備が要求されるようになった。そこでは、ペドリ、D・オルモ、あるいはラフィーニャのように走れる選手が重宝される。
■ヤマルの躍動とカンテラーノ
D・オルモの獲得に成功したバルセロナだが、ニコ・ウィリアムスの獲得には至らなかった。
ニコの契約解除金は5800万ユーロ(約92億円)に設定されていた。しかし、バルセロナは、その資金を捻出できなかった。
一方で、ラミン・ヤマルが躍動している。EURO2024においては、ニコと共にサイドアタッカーで大活躍して、スペイン代表の優勝に貢献したヤマルだが、勢いそのままに、好パフォーマンスを披露している。リーガの4試合で、1得点4アシストと非常に調子が良い。
ヤマルを筆頭に、今季のバルセロナでは、カンテラーノが台頭している。開幕節のバレンシア戦では、ヤマル、パウ・クバルシ、マルク・ベルナルと18歳以下の選手が3人スタメンに名を連ねた。加えて、ジェラール・マルティン、マルク・カサード、セルジ・ドミンゲスといった選手たちが、トップチームの扉を叩いている。
アレックス・バルデ、負傷からの復帰が待たれるガビ、彼らもまたバルセロナのカンテラーノだ。
ベルナルの負傷は残念だったが、それでもバルセロナの未来には光が差し込んでいる。
「我々は勝ち点12を稼いだ。まったくもって、悪くない。しかし、フットボールの世界では、状況はすぐに変わってしまうものだ」
「(ホームの試合で)サポーターが私の名前を叫んでくれたのは、誇らしかった。だけど、まだ4試合目だ。変化が起きてもおかしくない。我々は、我々の仕事で、サポーターに喜びを届けたい。なので、続けなければいけない。毎試合、向上を目指す。その道のりは長い。サポーターとの繋がりは素晴らしい。選手たちは、100%、バルサのために尽くしている。それがピッチ上で分かれば、観ている人たちはチームの良いプレーと仕事ぶりに気付いてくれる」
これはハンジ・フリック監督の言葉だ。
財政的に厳しい状況は続くが、バルセロナは前を向いている。ガビ、アンス・ファティ、ロナウド・アラウホ、フレンキー・デ・ヨングといった選手たちも、少しずつ、負傷から回復して戻ってくる。
レアル・マドリーがキリアン・エムバペの適応に苦しみ、躓いている一方で、バルセロナはできることをやっている。そんな印象だ。シーズンは長い。何が起こるか分からない。しかし、出だしは順調、というのは間違いない。