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大型連休最後の日は低気圧通過で大荒れ 連休明けの関東の通勤通学は行きの強い雨に帰りの寒さに注意

饒村曜気象予報士
日本列島をほぼ東西にのびる停滞前線(5月7日9時)

連休までの気温変化

 令和5年(2023年)は、1月25日が今冬一番の寒波襲来で、全国の半分が冷凍庫に入ったような厳しい寒さとなったのですが、その後は気温が高い日が続き、3月は記録的な暖かさとなり、北日本でも真冬日を観測しなくなっています。

 4月に入ると、最低気温が氷点下という冬日になっても、日中の気温は高くなることが多くなり、最高気温が25度以上という夏日も増えてきました。

 4月18日(火)には熊本県の水俣で30.2度を観測し、今年全国で初めて最高気温が30度以上となる真夏日となり、21日(金)は、西~東日本で記録的な暑さが続いたものの、寒気が南下し、北日本から平年より低い気温となり初夏への歩みは一旦小休止となりました。

 大型連休は、4月29日(土)の昭和の日からですが、南岸低気圧の通過で、西日本から雨で始まりました。

 当初は、連休期間中は低気圧が短い周期で通過するため、雨の日が多いという予報でした。

 しかし、低気圧が日本列島の真上を通過しなかったことなどから、5月5日(金)のこどもの日までは晴れた日が多く、気温が高めに経過しました(図1)。

図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月7日)
図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月7日)

 ただ、5月5日に夏日を観測した地点数は371地点(気温を観測している全国914地点の約41パーセント)と、4月20日の374地点(約41パーセント)にはわずかに及びませんでした。

大型連休最終日の大荒れ

 大型連休最後の日である5月7日(日)は、日本付近をほぼ東西にのびる前線が停滞し、その前線上を低気圧が通過しました(タイトル画像参照)。

 このため、西日本を中心に総雨量が400ミリ以上の大雨となっています(図2)。

図2 48時間降水量(5月6日0時から7日24時までの48時間)
図2 48時間降水量(5月6日0時から7日24時までの48時間)

 5月5日(金)14時42分に石川県能登地方を震源とするマグニチュード6.5の地震があり、石川県珠洲市で震度6強の揺れを観測しました。

 石川県能登町で震度5強、輪島でも震度5弱を観測した地震により、気象庁では地震に伴って地盤が緩んでいることなどを考え、石川県能登地方の大雨警報や注意報、土砂災害警戒情報の発表基準が7~8割に引き下げられています。この能登半島でも100ミリ以上の雨が降っており、厳重な警戒状態が続いています。

大型連休明けの関東地方

 大型連休最終日に西日本を中心に大雨をもたらした低気圧は、大型連休明けの5月8日(月)には、三陸沖から北海道の東海上で発達する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(5月8日9時の予想)
図3 予想天気図(5月8日9時の予想)

 このため、東~北日本では雲が多く、東日本から東北は午前中を中心に雨が降り、東日本では雷を伴った非常に激しい雨が降る所があるでしょう。

 5月8日の総雨量は、東海地方を中心に100ミリを超える予報となっていますので、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してください(図4)。 

図4 24時間予想降水量(5月8日0時~24時)
図4 24時間予想降水量(5月8日0時~24時)

 特に関東地方では、雨脚が強まるのが通勤・通学の時間帯ですので、交通情報を確認し、早めに行動をとるようにしてください。

 帰宅の時間帯には雨が上がっている所が多いと思われますが、朝方より気温が低くなっています。気象庁が7日夕方に発表した5月8日の最低気温は、「8日朝の最低気温」です。

 例えば、東京の最低気温の予報は16度になっていますが、朝の最低気温が16度ということで、夕方からは寒気が南下してきますので、朝の最低気温より下がると思われます(図5)。

図5 東京の気温変化(5月6日~7日は実況、8日~10日は予報)
図5 東京の気温変化(5月6日~7日は実況、8日~10日は予報)

 もっとも、東京の気温は、7日午後から急降下し、夜の気温からみると、8日朝の最低気温の予報16度は高すぎます(12度以下です)。

 予想以上に強い寒気が南下していますので、もっと寒い一日になるかもしれません。

 関東地方は、通勤通学時には、行きの雨対策とともに、帰りは行きよりも気温が下がることからの寒さ対策も考える必要があります。

 また、寒気が流れ込む影響で、東北北部や北海道では昼前から所により雪の降る所もありそうですので、積雪や路面の凍結に注意が必要です。北海道では、まだ雪の心配があるのです。

 一方、西日本では明け方までは雨が降り、所により雷を伴って激しく降る所もありますが、次第に晴れてくる見込みです。

 南西諸島はくもりで所により雨が降るという大型連休明けになるでしょう。

今後の東京の天気と気温

 東京では、大型連休明けの5月8日を除くと、お日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)がほとんどの日が続く予報です(図6)。

図6 東京の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)
図6 東京の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)

 黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日もありますが、降水の有無の信頼度が5段階表示で一番低いEや、二番目に低いDの予報です。

 しばらくは雨が降らない日が続くと考えて良さそうです。

 東京の最高気温と最低気温の推移をみると、今週前半は平年より低い日が続き、後半は平年より高い日が続く見込みです(図7)。

図7 東京の最高気温と最低気温の推移(5月8日以降はウェザーマップの予報)
図7 東京の最高気温と最低気温の推移(5月8日以降はウェザーマップの予報)

 今年、東京で夏日を観測した日数はすでに7日もありますが、今週後半からは、連日夏日の予想となっています。

 季節は、着実に初夏へ向かっています。

タイトル画像、図2、図4、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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