絶対に食べておかねばならない 京都の背脂醤油ラーメン「基本」3軒
京都のラーメンは「こってり濃厚」が基本
京都は古くからラーメン文化が根付く、知る人ぞ知る「ラーメンの都」である。戦前の屋台から続く人気の老舗がいくつもある一方で、革新的で唯一無二のラーメンを提供する新店も増え続けている。京都のラーメン文化は、伝統と革新の両方を兼ね備えた全国でも稀有な存在と言えるだろう。
あっさりとした透明なスープの、いわゆる「京風ラーメン」は京都に存在しない。京都で古くから愛されるラーメンの多くは、味付けが強くスープも濃厚なものが多い。その中でも「背脂醤油ラーメン」は京都のラーメンを代表するジャンル。本当の京都ラーメンを知るためには、まず背脂醤油ラーメンの名店を知ることからはじめよう。
京都背脂醤油の嚆矢『中華そば ますたに』(1947年創業)
銀閣寺に程近い白川疏水沿いに佇む、ノスタルジックな雰囲気の老舗が『中華そば ますたに 北白川本店』(京都府京都市左京区北白川久保田町26)だ。屋台としての創業は1947(昭和22)年で、店舗の開業は1949(昭和24)年。現在は本店のほかに京都駅ビル内に支店を構えるほか、東京にも暖簾分け店があるが、北白川の本店は当時の雰囲気のまま今も営業を続けている。
京都背脂醤油ラーメンを生み出したのはこの店。スープは鶏ガラやモミジに大量の背脂を炊き上げた白濁スープ。仕上げには背脂をたっぷりと振りかけるが、見た目ほどのしつこさはない。隠し味の一味ペーストによって、食べ進めるほどに味わいが引き締まっていく。70年以上経った今でもその味わいと人気に衰えは一切感じられない。
若き二代目が味を継承する『いいちょラーメン』(1998年創業)
1998年の創業以来、北山エリアで圧倒的な人気を誇る店が『いいちょラーメン』(京都府京都市左京区下鴨東半木町70-10)だ。創業者は幻の屋台とも呼ばれた岩倉の屋台ラーメンの流を汲む『山さんラーメン』(滋賀県)の出身。2022年、若き二代目にその歴史と味が託されたが、その人気は変わることがなく健在だ。
鶏ガラ豚骨ベースの軽めのスープにうっすらと浮いた背脂のバランスが絶妙で、醤油ダレの味わいを追いかけるように唐辛子の辛味が顔を出す。たっぷりのお湯でしっかりと茹で切った細麺も修業先と同じものを使用する。常連客が必ず頼む人気のやきめしは、隠し味にニンニク油を使っているのでラーメンとの相性もピッタリ。この店に来たら絶対に食べて欲しい逸品だ。
伝説の白濁背脂醤油が劇的に復活『らーめん杉千代』(1999年創業)
1999年に太秦で創業し一躍人気店となるも、2009年に惜しまれつつ10年間で営業を終えた幻のラーメン店が、創業者からレシピを受け継いで2021年に河原町で劇的な復活を果たした。それが『らーめん杉千代』(京都府京都市中京区米屋町380-6)だ。
鶏ガラと豚骨をベースにしたスープは、しっかりと乳化している白濁スープ。そこにキレのある醤油ダレと唐辛子の辛味が融合。一口目からピリリと辛味が出てくるのが杉千代の特徴。大判のバラロールチャーシューは箸で持つと崩れてしまうほど柔らか。ノスタルジックな京都背脂醤油ラーメンを進化させた幻の味が、見事に再現されている。
今回ご紹介した3軒は、いずれも京都の背脂醤油ラーメンを語る上で欠かせない名店ばかり。流行のラーメンを追いかけるだけではなく、ぜひ長年愛され続けている味も食べてみて欲しい。ジャンルごとの系譜を辿りながら食べることで、京都ラーメンの食べ歩きがさらに楽しくなることだろう。
※写真は筆者によるものです。
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