川の溺水の多発地点は分かっている。災害時のハザードマップ確認と同様に水難事故マップの確認を
猛暑日となると、各地で水難事故があいつぎます。そして、○年前にも同じ場所で事故があったという報道を目にしますよね。そうなんです。川で事故が起こる場所はたいてい決まっているのです。
事故が多発する場所は、昔は「河童」の伝承があったかもしれません。命を守るために伝承は大切でした。でも、今は、伝承は伝わりにくくなったものの、ネットで水難事故のあった場所を調べることができるのです。これは、災害時のハザードマップと同じです。必ず、確認してから出かけてください。
上をクリックしていただくと2003年から2019年までの水難事故がマッピングされています。行きたい川を調べてみてください。
今年の(2020年)8月12日、大分県の玖珠川で水難事故の報道がありました。
この場所では、2007年に小学生が溺れ救助に入った方も流されていることが、全国水害事故マップからわかります。
滝つぼでなぜ溺れるかということについては、今日からライフジャケットなしの川遊びは怖くてありえないと思える6つの理由~こどもも大人も必ず装着を~の記事でも書きました。
空気含有量が多い、白く泡立つホワイトウォーターの中では、水が空気で軽くなり、人が浮かばなくなるからです。また、滝つぼでは循環流が起こりやすいからです。とにかく川に行く際はライフジャケット を着用するのがアウトドアの常識であることを知っておいてください。
そして、遊びに行く際も、災害対策も、地図の確認は、その土地を知るための重要なツールです。
洪水のハザードマップを見ると、まわりに比べ深く浸水する地域があります。平野部では、まわりよりも土地が低いので浸水するのかもしれません。山間部では川が狭くなり、まわりを山に囲まれていると、水の逃げ場がなくなるので、浸水が深くなる場所かもしれません。川を知り、危険を認識することで、適切な避難ができるわけです。
水難事故マップでも同じです。
例えば、岐阜県長良川千鳥橋付近は通称「左巻き」と呼ばれる流れがあります。
この場所では、2003年から2018年の間に6名の命が失われています。
死亡事故が起こる原因についてもわかっています。
10m以上の深いくぼみが2カ所あり、そこにむかって秒速2mの沈み込む流れが起こっているのです。秒速2mといえば、海岸から沖に流される「離岸流」の速度と同じです。オリンピック選手並みの泳力でないと岸にむかってたどりつけない速度です。それほど速い、川底にひきこまれる流れが起こっているわけです。流れに逆らって上にむかって浮くことは当然ありませんし、水面にむかって一生懸命泳いだとしても、オリンピック選手なみの泳力がないと浮かび上がる事ができません。それゆえ死亡事故につながっています。
このような場所では、地域の伝承で、脱出する方法が伝わっている場合があります。しかし、その多くは、全員が必ず助かる方法とまではいえません。ですので、浮力の補助は必須です。ライフジャケット は必ず装着することを前提としたうえで、原因がわからない事故多発地点には近寄らないことが重要です。
川をよく知るためにも、水難事故マップや洪水ハザードマップをこの夏、ぜひ、確認していただければと思います。
自然を知ることが、日常の事故対策にも災害対策にもつながります。