お風呂の残り湯を使うのは実はNG?!ニオイが気になる人の洗濯術
洗濯研究家の平島 利恵です。
入浴後の残り湯をそのまま捨てるのは勿体ないと、洗濯に使う方もいらっしゃると思います。
お湯を使って洗濯すると、洗剤の洗浄力がUPするため、汚れが落ちやすくなります。でも、残り湯に含まれる皮脂や雑菌は、洗濯に影響がないのでしょうか?
細菌は一晩で数千倍に増える
衛生微生物研究センターの調査によると、お湯を張った直後の細菌数は1mLあたり数十個程度だったのに対し、入浴直後の風呂水では数百個から数千個、一晩放置した風呂水では数十万個から数百万個と、細菌が数千倍に増えたという結果が出ています。
※出典:衛生微生物研究センター「お風呂の残り湯は使ってもよい?」
https://kabi.co.jp/remaining-hot-water-from-bath/
残った菌がニオイの元に
残り湯を使う一番のデメリットは、衣類のニオイです。
衣類の嫌なニオイの原因は、洗濯時に残った雑菌の繁殖によるものです。
匂い戻りや部屋干し臭も、モラクセラ菌という菌が繁殖することで発生します。
残り湯を使うと、水道水を使った場合と比べ、衣類に雑菌が多く残ります。
そのため、より清潔に洗濯しなければ、衣類が臭くなってしまうのです。
洗濯の目的は、衣類を清潔に洗うこと
「清潔な洗濯」という観点で考えると、残り湯の使用は推奨しません。
水を大切に再利用できたとしても、衣類自体が不衛生になり、衣類の寿命を短くしてしまっては意味がありませんよね。
また、洗濯したにもかかわらず、洗い上がりが雑菌だらけの状態では、洗濯をした時間・コストがすべて無駄になってしまいます。
残り湯を洗濯に使いたい場合は、次の6つの注意が必要です。一つでも怠ると、たちまち衣類が臭うようになるため、気をつけましょう。
残り湯で洗濯する時の注意
ニットやおしゃれ着などは、お湯を使うと縮み・傷みを招く恐れがあります。必ず洗濯表示を確認しましょう。
入浴剤を使用している場合、洗濯に使えないケースもあるため、必ず入浴剤の表示も確認します。
入浴後、すぐに利用する
時間の経過とともに、残り湯に雑菌が増殖します。入浴後はすぐ使用しましょう。
前日のお湯を翌朝使用するのは、衛生面の観点から推奨しません。
湯船に入る前に身体を洗う
入浴人数が増えるほど細菌数も増えます。風呂湯に汚れを残さないため、身体を洗ってから湯船に浸かりましょう。
夏場など汗・皮脂が多く、室温が高いと菌がより繁殖します。夏は衣類自体にも皮脂・汗の汚れが多く付着しているため、残り湯の使用は控える方がよいでしょう。
洗いは11分以上(汚れが酷い時は13分以上)
通常より汚れが多い状態のため、洗い時間を長くします。
ただし、洗い時間が長いほど衣類への負担は大きくなります。そのため、デリケートな衣類やおろしたての服、毛羽立ちを防ぎたい衣類には、残り湯の使用を控えるのが良いでしょう。
すすぎには水道水を使い、2回以上
すすぎに残り湯を使うと、衣類に菌がついてしまいます。すすぎは水道水を使い、必ず2回以上行いましょう。
洗濯後はすぐに干す
衣類は濡れている時間が長いほど、残った菌が繁殖し、部屋干し臭が発生します。
残り湯を使った場合、夜洗濯するため、基本的に室内干しとなります。
室内干しは乾燥に時間がかかるため、ニオイが発生しやすくなる上、残り湯を使うと通常より衣類に菌が残るため、エアコンやサーキュレーターの風を当て、短時間で乾かすように干しましょう。
月に一度は洗濯槽の掃除
洗濯槽にも通常以上に皮脂や雑菌がつく可能性があります。皮脂をエサに雑菌や黒カビが繁殖するため、月に一度は専用クリーナーで掃除しましょう。
残り湯を使わずに温水洗いしたい時
温水洗いには、①洗剤の洗浄力UP ②衣類の汚れが溶け出しやすくなる というメリットがあります。衣類をより清潔に洗いたい時、黄ばみなどが気になるとき、蓄積汚れのくすみが気になる時には、温水洗いが効果的です。
温水洗い機能がない洗濯機をお使いの場合、お風呂のお湯取り機能を使い、キレイなお湯を使って洗濯しましょう。
蛇口の下にバケツを置き、溜まったお湯を吸うと簡単に温水洗いができ、洗い上がりがスッキリとするので、ぜひ試してみてください。