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東京都心は今年最後の夏日でも南の海では台風21号発生か 10月にマリアナ諸島東で発生する台風は要注意

饒村曜気象予報士
台風20号の雲と熱帯低気圧の雲(10月24日15時)

東京の遅い夏日

 令和6年(2024年)10月24日は、寒冷前線が北日本を通過し、北から寒気が南下しましたが、西日本の南海上から南西諸島にかけては、台風20号に伴う暖湿気が北上したことから停滞前線が活発化しています(図1)。

図1 地上天気図と衛星画像(10月24日12時)
図1 地上天気図と衛星画像(10月24日12時)

 このため、全国で一番気温が高かったのは、沖縄県・南大東の31.0度で、全国で最高気温が30度以上の真夏日は3地点(気温を観測している全国914地点の約0.3パーセント)でした。そして、最高気温が25度以上の夏日を観測したのは128地点(約14パーセント)でした。

 10月25日は、大陸から大きな移動性高気圧に覆われてきますので、真夏日は10地点(約1パーセント)くらい、夏日は249地点(約27パーセント)くらいと、前日よりは暖かくなる見込みです。

 しかし、9月中旬まで続いていた記録的な暑さには遠く及びません(図2)。

図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月25日以降は予想)
図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月25日以降は予想)

 令和6年(2025年)の記録的な暑さは、9月下旬になると最高気温が35度以上の猛暑日をほとんど観測しなくなり、10月に入ると真夏日や夏日が激減しています。

 東京都心についていえば、9月18日が今年最後の猛暑日、9月20日が今年最後の熱帯夜(便宜上、最低気温が25度以上の日を熱帯夜と定義)、10月19日が今年最後の真夏日になりそうです(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月25日以降はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月25日以降はウェザーマップの予報)

 また、東京都心では、前線が途切れて日射があり、最高気温が26.3度となり、今年153日目の夏日となりましたが、ウェザーマップ16日の先までの予報をみると、今後は夏日を予想していません。

 平年より気温が高い日が続く予報ですが、10月24日が、今年最後の夏日となりそうです。

 日本列島は、暑かった夏もようやく終わったといえますが、日本の南にはまだ夏が残っており、台風に対して警戒が必要です。

台風21号の発生

 南シナ海にある台風20号は、南シナ海を西進することから、日本へ影響はないように見えます。

 しかし、広い範囲に雨雲があり、その一部が北上して沖縄本島では、24時間に200ミリ以上の大雨が降りました。

 そして、マリアナ諸島の東にある熱帯低気圧が台風に発達して日本に接近し、短い時間間隔で2回目の大雨の可能性が、さらに南シナ海をUターンしてくる台風20号により3回目の大雨の可能性がでてきました。

 まず、マリアナ諸島の東の熱帯低気圧です。

 この熱帯低気圧は、24時間以内台風に発達し、来週の週明けには沖縄県先島諸島に接近する見込みです(図4)。

図4 発達する熱帯低気圧の進路予報と海面水温(10月24日21時)
図4 発達する熱帯低気圧の進路予報と海面水温(10月24日21時)

 台風が発生すれば、台風21号となります(表)。

表 台風の発生数・接近数・上陸数(令和6年(2024年、10月24日まで)と平年値、接近数については月をまたぐ場合があるので月の値の合計は年の値と一致しません)
表 台風の発生数・接近数・上陸数(令和6年(2024年、10月24日まで)と平年値、接近数については月をまたぐ場合があるので月の値の合計は年の値と一致しません)

 令和6年(2024年)は、台風の発生が遅く、第1号がフィリピン近海で発生したのは、5月26日でした。

 台風の統計がある昭和26年(1951年)以降、台風1号が一番遅く発生したのは、平成10年(1998年)の7月9日で、令和6年(2024年)は、史上7番目の遅さということになります。

 6月に台風の発生はなく、7月も台風発生数が2個と平年に比べて少なかったのですが、8月は平年並みに6個、9月は平年より多い8個も発生しています。

 そして、10月は、これまで2個発生していますので、ほぼ平年並みの発生数となってきました。

 気象庁が発表する台風の進路予報は5日先までですので、29日以降の進路予報は発表されていませんが、10月に日本に接近する台風の多くは、マリアナ諸島の東で発生したものです。

 この熱帯低気圧が進む海域は、海面水温が台風発生・発達の目安となる27度以上ありますが、渦が締まっておらず、台風に発達したとしても、暴風域を持つところまでは発達しないと考えられます。

 広い範囲に雨雲を伴っており、大雨に警戒が必要な台風になる可能性があり、この熱帯低気圧の動向には、特に注意が必要です。

 一方、南シナ海を発達しながら西進している台風20号ですが、来週になると向きを東に変える見込みです(図5)。

図5 台風20号の進路予報と海面水温(10月24日21時)
図5 台風20号の進路予報と海面水温(10月24日21時)

 来週初めに東進する予報の台風20号は、南西諸島から西日本に台風として接近するより、温帯低気圧に変わってから接近する可能性が高いのですが、いずれの場合でも大雨に警戒が必要です。

 各地の10日間予報をみると、10月25日は沖縄から九州南部を除いて晴れとなっていますが、今週末からは九州北部から東日本も雨となるなど、雨が多い天気予報になっています(図6)。

図6 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図6 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 そして、この雨の多くは熱帯由来の雨であることから、この時季としては雨の割には気温が高い日が続く見込みです。

 台風21号や台風20号の進路によっては大雨の可能性がありますので、気象情報に注意が必要な10日間です。

タイトル画像、図1、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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