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191cmのブラジル人センターバック

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 早くもスタートした2026年W杯予選。南米予選は、現地時間9月12日に第2節が行われ、前回王者のアルゼンチンと、その最大のライバルであるブラジルが2連勝を飾った。

ホームの大声援を背にペルーも善戦したが、ブラジルが一枚上だった
ホームの大声援を背にペルーも善戦したが、ブラジルが一枚上だった写真:ロイター/アフロ

 ブラジルは初陣となったボリビア戦で5-1。12日は敵地でペルーと対戦し、試合終了間際のアディショナルタイムにコーナーからマルキーニョスがゴールして粘るペルーを1-0で振り切った。

撮影:筆者
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 所変わって米国の2部リーグ、メンフィス901のCB、ルーカス・トゥルシ(27)は武骨なファイターで、所謂"ブラジリアン"的なテクニシャンではない。おそらく、カナリアのユニフォームを着ることも無いトゥルシだが、191cmの長身を生かしたヘディングの強さ、そしてゴリゴリのハードワークで相手を潰すディフェンスに、存在感がある。

 ブラジル代表の華やかさとは裏腹に、観客もまばらなアメリカの2部リーグで人知れず奮闘する姿にペーソスを感じた。

 ユース時代はサンパウロ、コリンチャンス、クルゼイロと名門チームの下部組織に在籍していたが、トップチーム昇格は果たせず。ドイツに渡り、3部リーグなどでプレーしながら2022年3月にメンフィスの一員となった。

撮影:筆者
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 1-0でサンディエゴ・ロイヤルズを下した後、トゥルシに話し掛けた。

 「オーランドに家族が移住したんだ。ドイツにいても、なかなかチャンスが無かったので、アメリカもいいかな、と思った。

 メンフィスはいいサッカ―をしているし、このチームの一員であることに幸せを感じる。充実した毎日だよ。いつの日か、この国のトップリーグであるMLSでプレーしてみたいね。ブラジルの1部よりもアメリカで成功したい。家族がいるし、美しい国だから」

撮影:筆者
撮影:筆者

 メンフィスのメンバーは、トゥルシから学ぶものが多くあるように見えた。彼の米国での戦いに期待したい。今後、どんなキャリアを重ねるかに、興味津々だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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