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非武装地帯4kmを挟んでの南北の熾烈な軍事訓練 「攻める」人民軍に「反撃する」韓国軍

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国軍の敵の奇襲攻撃を想定した市街地戦闘訓練(韓国陸軍配信)

 春の恒例行事である米韓合同軍事演習が終了しても昨年同様に今年も朝鮮半島の軍事的対立は一向に緩和されず緊張状態が続いている。

 米韓合同軍事演習(4-14日)に対して6日に前線部隊の射撃訓練、7日に大連合部隊による砲撃訓練、13日に戦車部隊の訓練で対抗していた北朝鮮は14日以後も15日に各航空陸戦兵(空挺)部隊の訓練を行う一方で18日には砲兵部隊による超大型砲(600mm)発射訓練を行うなど韓国に対して強硬姿勢取っている。

北朝鮮空挺部隊のパラシュートで敵地に落下する訓練(朝鮮中央通信から)
北朝鮮空挺部隊のパラシュートで敵地に落下する訓練(朝鮮中央通信から)

 韓国軍もまた、米韓合同軍事演習以後も手を緩めず軍事演習を続けている。

 時系列でみると、15日には軍事境界線に近い京畿道・抱川の昇進科学化訓練場で3個旅団による迫撃砲発射訓練、18日には京畿道・波州市に所在している訓練場で「黄金コウモリ旅団」を中心とした特殊機動支援旅団と工兵大隊による戦闘車両やヘリコプター、ドローンなど投入しての実射撃訓練と江原道・固城郡での陸軍22師団歩兵捜索大隊による敵の浸透部隊への対応訓練があった。

 また、20日には京畿道坡州市にある都市地域作戦訓練場で陸軍第9歩兵師団と米第2師団及び米韓連合師団第11工兵大隊、地上作戦司令部特殊機動支援旅団による北朝鮮の奇襲攻撃を想定した市街地戦闘訓練が行われた。この他にも韓国陸軍5個兵旅団と米第2師団傘下の工兵大隊による臨津江渡河訓練があり、21日にも慶尚北道・安東の訓練場でヘリを使った陸軍第50歩兵師団による急速ヘリロープ下降訓練が行われた。

 京畿道坡州市で18日と20日に行われた韓国軍の訓練は明らかに北朝鮮の空挺部隊の訓練を意識して行われている。

北朝鮮空挺部隊の敵の施設を制圧するための訓練(朝鮮中央通信から)
北朝鮮空挺部隊の敵の施設を制圧するための訓練(朝鮮中央通信から)

 訓練には戦車や装甲車、偵察ヘリ、ドローンなどが投入され行われたが、北朝鮮が15日に行った空挺部隊(落下傘部隊)の訓練が敵地に上陸し、敵の主要軍事対象物を一気に占領するための訓練だったことへの対抗措置であることは明らかだ。

 北朝鮮が配信した写真には落下傘部隊が輸送機から敵陣に飛び降りる場面から軍事対象物を制圧するためロープを使って上る場面、さらには射撃を加える場面などが写し出されていた。

 攻める北朝鮮人民軍に守り、反撃する韓国国軍という図式だが、ロシアとウクライナ戦を除けば、世界広しと言えども、非武装地帯4kmを挟んでの実戦さながらの訓練をしているのはおそらく地球上で朝鮮半島だけではないだろうか。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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