Yahoo!ニュース

間も無くゴング! 夭逝した伝説のチャンプの次男、16歳がリングに上がる

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:著者

 私が物書きとなって、丸27年が過ぎようとしている。1度切りのインタビューでビジネスが終了するケースもあれば、何十年も続く確かな絆を構築できることもある。

 何度となく記してきたが、3階級を制覇した伝説の王者、故ジョニー・タピアは、思い入れのある人だ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20140501-00034948

https://friday.kodansha.co.jp/article/204613

撮影:著者
撮影:著者

 彼へのインタビューは叶わなかったが、未亡人となったテレサ、2人の息子とは連絡を取り合っている。

撮影:著者
撮影:著者

 今日、ニューメキシコ州メスカレーロで催される興行に、タピアの次男、ジョニー・”ニッコ”・タピア3世が出場する。ニッコは2005年3月26日生まれの16歳。高校3年生である。

 アマチュアデビューを控えたニッコは言う。

 「ボクシングは僕の情熱。リングに上がることに愛を感じます。観客からエネルギーをもらえますよね」

撮影:著者  父の写真の前でトレーニングする次男
撮影:著者  父の写真の前でトレーニングする次男

 父が他界したのはニッコが7歳の時。会話の詳細までは覚えてはいないが、好物のアイスクリームサンドウィッチを買ってもらった記憶があるという。

 「2枚のチョコレートにバニラが挟んであるタイプです。父も好きだって語っていました。

 2~3歳の頃、父が汗を流す際にジムに連れていってもらい、興味を持ったんですよ。父のように強いボクサーになりたいですね」

撮影:著者
撮影:著者

 「父は多くの困難に直面しながらも、逃げなかった。そういう生き方を兄と僕に示したんだと思います。父の息子として恥ずかしくない生き方をしなければ。

 どういう選択をしても、しっかりと目標に向かって努力することが、自分に課せられた使命です」

 健やかに育つ2人の息子を目にしながら、タピアが父親として遺したものを感じる。彼らが高級住宅地で不自由なく生活できる道を築いたのは、8歳にして母親を殺害された事実に苦しみながら、45歳の若さで永眠したチャンピオンなのだ。

 タピア・ファミリーの幸福を祈りたい。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事