ブラック企業に朗報!? 「終電延長」でサラリーマンの不満も増長?
全国各地で「終電延長」が実施される
全国大都市圏で、「終電延長」「最終列車の時刻繰り下げ」の流れが進んでいます。
大阪市交通局は12月21日のダイヤ改正で堺筋線の終電時間を最大42分延長。名古屋の地下鉄東山線も40分程度延長し、来夏から本格実施する考えです。東京メトロも2014年の3月に、半蔵門線・南北線の最終列車の時刻繰下げを。都営三田線・都営大江戸線でも最終列車の時刻を延長するようです。
年末のみの対応ならともかく、本格的に「終電延長」が実施されると、どのような影響があるのでしょうか。
今年、流行語にもなった「ブラック企業」。二宮尊徳の名言「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」にもあるように、企業が売上・利益を追求するのは当然です。いっぽう、その思いが暴走して従業員に過剰労働を課すことも問題です。過剰労働と「長時間労働」はセット。終電延長の潮流は、長時間労働を助長させることに繋がらないか、懸念されるところですね。
「付き合い残業」「付き合い飲み会」「サービス業の営業時間」などが、終電延長とともに伸長するかが焦点。残業していても、飲んでいても、「終電に間に合わなくなるから、これぐらいで切り上げるか」という発想は必要だからです。期限から逆算するから作業密度は高まります。作業密度が高まるからこそ、脳の基本回転数が高まり、質の高い仕事ができるのです。労働時間だけが膨れ上がり、仕事の密度が薄まることは避けなければなりません。
「終電延長」は時代の流れと逆行しないか
「ブラック企業」の中にはサービス業が多く含まれます。サービス業の場合、総じて経営者たちは営業時間を長くして少しでも稼ぎたいという心理が働きます。クリスマスや忘年会シーズンの年末など、一時的な延長ならともかく、恒常的に営業時間が長くなると、年間の総労働時間が増え、「ブラック企業」予備軍が増える危険性があります。
また、仕事と生活の調和――「ワークライフバランス」を求める風潮が定着した昨今、「終電時間を気にせず飲んでいられる」という声は昔より少なくなったはず。早く帰宅して家族との時間、趣味の時間を充実させたいというニーズのほうが高い気がします。
物事には期限が必要です。「調和」「バランス」「メリハリ」をつけるためには、デッドラインがあるほうが、時間感覚を失わずに済むのです。自己の責任において時間管理・タイムマネジメントできる立場の人ならともかく、「最終電車」という絶対的なデッドラインが繰り下がることで、サラリーマンたち――とりわけ「従わざるを得ない立場の人たち」の不満やストレスが鬱積していくことになるでしょう。