Yahoo!ニュース

「せっかく収納を作ったのに、子どもが片づけてくれない」そんな時考えてほしいこと

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

自分らしい暮らしの選び方、藤原友子です。私は、小中高の4人の子を「いつもキレイではないけど何かあればすぐ片づく家」で育てています。

キレイにセンス良く並んだ収納は、見ていてとても気持ちの良いものです。

私もSNSで、誰かの家のキレイに整った収納を見ることがありますが、頑張りすぎていないだろうか、というのが気になるところです。

なぜ一生懸命作った収納に戻してくれないの?

数年前、子育て中のお母さんに「子どもがおもちゃの片づけをしてくれないんです」と悲痛な声で相談をされました。

そのお宅にお邪魔してみたのですが、玄関からキッチン、リビングへモノがとても少なくとてもキレイでおしゃれで片づけができている状態です。  

お母さんが気にしていたおもちゃ収納を見てみると、おままごとごっこ用のおもちゃが、野菜、果物、お鍋、プライパン、スプーン、フォーク、大皿、小皿、というように、かなり細かく分類され、それぞれがカゴに収められています。

カゴはインテリアに合うように選ばれたもので、収納の中身に入っているおもちゃの写真を撮影し、カゴにはその写真がデコレーションして貼られています。きっとSNSで見た収納をマネしてみたのでしょう。

どこに何があるかすぐわかるように収納を考えられていて、まだ小さい子どもは波があるでしょうが、元に戻しやすい環境になっています。

お母さんは何が不満なのだろうと思いながら、話をしていくうちにわかったことは、「自分が時間をかけて一生懸命作った収納なのに、なぜその都度片づけてくれないんだ」という思いでした。

でも、まだ子どもは2歳。まだまだ好奇心旺盛で、片づけより遊ぶことに熱中するのは当たり前のこと。次々と遊びが変わり、散らかしやすい時期です。

そこには、「使ったら元に戻す」ことができる子どもの姿というより、お母さんたちが理想とする子どもの片づけ像を、子どもに押し付けているお母さんの姿があるように私は感じました。

子どもも、おもちゃで楽しく遊ぶことより、元に戻すことに神経質になりすぎて、遊ぶ喜びを思い切り感じることができなくなっているようでした。

部屋のキレイを守ることだけに、注目しすぎていないだろうか

この話は少し極端なケースですが、「片づけさせなくちゃ!」と思いすぎ、追い詰められて、モノを元に戻すことだけを考えているお母さんは多いのではないでしょうか。

「片づけができる子」を育てるというより、部屋のキレイを守るためだけに片づけをさせているお母さん。

きっとさきほどのお母さんは、頑張って収納を作った自分を認めてほしい、素敵な収納を誰かに褒められたいという思いがあったのだと思います。

「片づけてスッキリしたい!」という気持ちはよくわかります。しかしその気持ちばかりが大きくなりすぎると、お母さんが理想とするスッキリした環境を整えるどころか、むしろ、スッキリした環境を悪気がなくぶち壊してしまう子どもの行動ばかりが気になり、

「片づけないと捨てるよ!」と脅したり、怒鳴りながら片づけて回ったり、言ってもやらないから結局お母さんが片づけてしまうということになります。

保育所や支援センターは、子どもの対象年齢は変わらない

また、子どものモノをきちんと収納しようと考えると、保育所や子育て支援センターの収納をマネすることを思いつく人もいるでしょう。

しかし、忘れないでほしいのは、保育所や子育て支援センターのおもちゃで遊ぶ子どもの年齢は、ずっと変わりませんが、家庭では我が子は日々成長し、そのおもちゃで遊ばなくなる日もやってくるということです。

はじめに話したお母さんのように、頑張っておもちゃの収納を作りすぎると、せっかく頑張って作ったのに、またやり直し!?という感情が生まれます。

もちろん、子どもが後片付けしやすいように、おもちゃの指定席を決めることは大切です。

ただ、子どもが手にするおもちゃは、必ず変わってくるので、子どもの成長に合わせて柔軟に収納を作り変える必要が出てきます。

だから、気合を入れて作りすぎないでよいのです。

そんな時もあるさ~、くらいで大丈夫

離乳食を頑張って作ったのに、食べてくれなかったという経験をしたことはないでしょうか。

「時間がない中、一生懸命にすりつぶしたのに!こんなに見た目もかわいくしたのに、なんで手でぐちゃぐちゃにするん!?」と絶望感を味わった経験が私にはあります。

そんな時もあるのです。

収納を作る目的は、子どもが後片付けをするためですが、その一つの目的だけだと、子どもが元に戻してくれなかったときは、愕然とします。

今のうちに子どもには、おもちゃで思い切り遊ぶ楽しさを存分に味わってもらい、「片づけ」については、そんな大切なおもちゃを「おうち」に連れて帰ってあげる、と意識するくらいがちょうどよくて、

子育てをしているお母さんたちには、子どもが元に戻す仕組みづくりばかり考えないで、収納を自分好みの雰囲気にしたりし、自分が楽しめる要素も適度に取り入れて、我が家の暮らしを作っていく楽しさを少しでも味わってほしいと思います。

====================

選ぶ暮らしラボ 藤原友子(ふじわらゆうこ) 

1975年生まれ 大分県在住 結婚後片づけを始める。長男との片づけバトルでモノを「選ぶ」ことの重要性に気づき、「選ぶ」から始める片づけや暮らし方を伝える活動中。

二男二女の母で「いつもキレイではないが、すぐに片づく家」で暮らしている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

藤原友子の最近の記事