鹿児島ラーメン超密集地「三官橋通り」界隈でも、知る人ぞ知る穴場。あさりラーメン「凡亭」
「三官橋(さんかんばし)通り」界隈はラーメン天国だ
鹿児島市の繁華街・天文館エリア、特に「三官橋通り」界隈は、“超”が付くラーメン激戦区である。高見馬場電停で路面電車をおりて脇道に入ると「らぁめん専門 さだ」「ごめんね、二郎」「豚とろ」「薩摩らーめん家 おこば」さらに進むと鹿児島味噌ラーメンの重鎮「三養軒」。通りを少し入ったところまで含めると、飲んだ後の締めラーメンの大御所「のり一」、ローカル度MAXで、筆者も惚れ抜く大衆中華「ながづき」など。深い時間この飲み屋街をほろ酔いで歩いていると、とにかくラーメンの選択肢が多すぎて迷ってしまう。
と、ここで、普段から「三官橋通り」エリアで飲み歩いている人、また鹿児島ラーメンのアンテナがびんびん立っている人はきっとこう言うに違いない。
「『凡亭』を忘れちゃいかんよ」と。
そう。今回の主役はその「凡亭」である。あの分かりにくすぎる細いアプローチ(何度通り過ぎてしまったことか)、深夜特化店で食べるアサリラーメンと絶品ロシア料理の数々。そしてママさんのお人柄。すべてが愛おしい。よりディープな鹿児島ナイトを楽しむためマストな一軒と言っていいだろう。「凡亭」は今年で創業30周年を迎えた。鹿児島出身の筆者自身も思い出の詰まった超名店について、ママへの感謝を込めてレポートする。
21時から営業を開始する「凡亭」があるのは「三官橋通り」のココ(上写真)だ。ビルとビルの隙間から入り細〜いアプローチを暗闇へと進んでいく。一応、小路の隅に看板があるがまず気づかない。そして淡い照明にぽわりと浮かび上がる“玄関”。これが非日常の凡亭ワールドへの入口である。初来店ではなかなか勇気がいるだろうが大丈夫。入ってしまえば、アットホームな空間にほっこりとなれる。
「おじゃまします」ってな感じで玄関から入ると、店内の照明は外とは対照的に明るい。そして、たくさんのマトリョーシカ、手作り感のある人形などロシアの民芸品が飾られている。ここは“ロシア料理”と“アサリラーメン”が名物の店。おひとりで迎えるママさんは、いつも若々しく、凛とした気品が漂っている方だ。ママは東京から鹿児島市に移住し、30年前の1994年に「凡亭」を開いた。当初はいわゆる普通の居酒屋であったという。
「友人からロシア料理の作り方を教えてもらったのがきっかけです。そのおいしさに魅せられて、私自身もロシアに赴き郷土料理を学びました。最初は居酒屋メニューに数品加える程度から始まったんですが、少しずつレパートリーを増やしロシア色が強くなっていったって感じですね」とママさん。
ビーフストロガノフ、ピロシキ、ボルシチ(どれもむちゃくちゃ旨い!)など、今ではメニューも気分も、とっぷりとロシア。現地のウォッカで流し込むのが最高なのである。
そして、ここからがラーメンの話であるが、まず「アサリラーメン」はロシア料理とは関係がない。このメニューだけが異彩を放つ存在なのであるが、なぜ名物となったのか。
「私の家でよく作っていたアサリラーメンをメニューに加えたんです。『締め用に何かあるとありがたい』というお客様からの要望は居酒屋時代から多くありましたから。いつの間にか名物になって、ラーメンがお目当ての方も増えましたね」とママは笑う。
この「アサリラーメン」、わっぜ(鹿児島弁ですごく)うまかど! シンプルイズベストを実感する名ラーメンだ。ママは毎朝、近くの市場で生の殻付きアサリを仕入れ、注文を受けてから出汁を取る。作り置きは一切なし。磯の香りが鼻に抜け、キリリとした関東の醤油、バターも効いている。ゴロゴロと入るアサリの殻を手に取り身をチュルリ、麺をズバッ、そしてアサリの旨みが凝縮したスープをズズッ。いやー、たまらん! レンゲですくう手が止まらん!! 飲んだ後の体にじわりと染み渡り、飲み干しても罪悪感どころか、健康になれる気すらしてくるラーメンだ。昨今、“貝出汁”はラーメン業界全体をにぎわせている一つであるが、その好例といえるのは間違いない。ラーメン激戦区で30年にわたり選ばれてきた一杯。
ロシア料理とアサリラーメンを堪能し時刻は深夜1時。「ママ、祝30周年。いつまでも元気にがんばってね」と声をかけ店を出る。
冒頭にも述べたように「三官橋通り」界隈はまさにラーメン天国だ。このアサリラーメンのほかにも、もちろん豚骨、味噌、ガッツリ系などさまざまなラーメンが待っている! 鹿児島を訪れたら、ふらりふらりとラーメン行脚を楽しんで欲しい。
【凡亭】(ぼんてい)
住所:鹿児島市山之口町9-54
電話:099-227-3735
時間:21:00〜翌2:00
休み:日曜、祝日
席数:18席(テーブル席のみ)
【まだある周辺のラーメン店】