【宮城県 東松島市】約200年以上の地域文化!その土地に息づく当時の歴史を知る [宮戸地区]
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過去数回にわたり連続でご紹介している東松島市宮戸地区の「月浜(つきはま)」周辺情報。以前の記事では海水の透明度がとても高く美しい海岸「月浜海水浴場」、そして出入口や道中の雰囲気がファンタジー映画の世界のような「稲ヶ崎公園(いながさき こうえん)」。そして、岩の造形美などを眺められる奥松島の絶景スポット「新浜岬(しんはま みさき)」以上の3箇所についてご紹介をしてきた。これらが夏のお出かけスケジュールのヒントとなれば幸いだ。
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さて、今回は月浜地域で約200以上も前から伝わる風習「えんずのわり」について学べる貴重な場所をご紹介。『えんずの・・わり?』聞き慣れない言葉に戸惑う方もいれば、既にご存じの方も多くいらっしゃると思う。現在、その代々伝わる風習は日本が誇る'重要無形民俗文化財'とされていて、非常に大切な地域(国)の宝となっているのだ。
早速、場所をご案内していこう!上記写真の「月浜海水浴場」正面にある'ユニークな屋根の休憩所'を出発点として、その横を通る'細道'を海岸に対して反対方向に歩いていこう。
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先ほどの休憩所から徒歩約3分の場所なので、車を利用しなくても歩いて行けるのが嬉しい。道中には月浜の出入口ゲートを確認することが出来る(※上記写真の中央奥)。近年では、とても珍しく懐かしいと感じるようになった'お迎えとお見送り'のゲート。『ようこそ!またきてね!』月浜には周囲に民宿も点在し、人々のおもてなしの温かさが変わらず息づいている素敵な場所だ。
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さて、月浜のゲートを横目に、正面には目的地「えんずのわり」の活動拠点の姿。この独特な雰囲気と特殊な形態を目の前に、まずはどこからどのように見ていけば良いのか?と戸惑ってしまうかもしれない。まずは「えんずのわり」という風習の意味と、この場所の構造を写真と共に説明していこう。
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「えんずのわり」とは、今から約200年以上も前から月浜地域で行われてきた'子どもたち'を対象にした行事だ。主な活動目的は、鳥たちから農作物を守る「害鳥退治」の儀式として行われてきた。近年では加えて五穀豊穣や大漁祈願としても執り行われてきたのだが、今年(2023年)の1月から代々続くこの伝統行事は休止をしている状況だ(※2023年6月末時点)。
上記写真の向かって右側に見える2つの岩穴は、1つが害鳥退治に関する展示室であり、大昔は作業場となっていた。そしてもう1つの穴は、現在はこの行事の歴史を書き綴った資料館になっていて、昔はなんと月浜地域の貴重なお風呂場だったそうだ。
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これが害鳥展示室の入り口。中には子どもたちが作ったであろうカラフルな鳥の模型や、薪などが保管されている。ぜひ、現地で実際に中を覗いてみて欲しい。
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そしてこちらが「えんずのわり資料館」だ。約200年以上の伝統行事の歴史がとてもわかりやすく説明されている。また、大昔は月浜地域のお風呂場だったことから、その名残を見ることが出来る。上記写真では岩の影となっているが、向かって左奥には井戸のような水場の跡がしっかりと残っているのだ。
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そして、写真向かって左の岩山の中に建てられている「合宿所」について、簡単に説明していこう!
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この行事に参加する子どもたちは、小学校2年生(7、8歳)から中学校2、3年生(13から15歳)までの男子学生たちで、毎年1月11日から15日までの期間に上記写真の合宿所で生活を共にするのだ。この資料館の情報によると、合宿中は基本的に精進料理を食べ、毎朝早朝に宿場のお隣にある「五十鈴神社」の境内を掃除し学校へと通うという。そして、合宿中は年長である中学2、3年生がリーダーとなり、下の子のお世話をしながら生活し行事を行うのだ。
この行事の本来の目的は「害鳥退治」に「五穀豊穣」そして「大漁祈願」だが、それ以上に参加する子どもたちとっては合宿経験を積むことで、集団行動やマネジメント能力などを学ぶ良い機会となっていたのではないだろうか。
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今年(2023年)でこの伝統行事が休止というのは、やはり寂しい気持ちだ。地域のためにも、そして子どもたちの学びの場でもあった「えんずのわり」。またぜひ復活することを期待したい!
今回の現場撮影で筆者が再認識したことは、この伝統的な風習の素晴らしさはテレビや新聞を読む・見るだけでは伝わらない、活動が行われた場所を訪れることで、初めてその良さが感じられるということだ。そして「えんずのわり」のように日本が誇る文化財を大切にし、多くの地域の大切なものを後世へと伝えていけたら、きっと行く先には素敵な時間・時代が待っているかもしれないぞ。
名称:えんずのわり資料館 / 害鳥展示室 / 合宿所
住所:宮城県東松島市宮戸23