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ともにオールスター選出の「親子」はこの夏に何組増える!? ゲレーロJr.の初選出は間違いなし

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボー・ビシェット(左)とブラディミール・ゲレーロJr. Apr 27, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 この夏、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は、オールスター・ゲームに初めて選出される。「オールスター・ゲームのファン投票・中間発表。大谷翔平はDHトップだが、意外(?)にも全選手の9位」で書いたとおり、6月14日の中間発表で、ゲレーロJr.は全選手トップの票を得ている。

 MLB.comのトーマス・ハリガンによれば、ア・リーグ一塁手部門の票は、ゲレーロJr.の得票が51%を占めるという。1選手の得票が45%以上のポジションは、他にはない。ちなみに、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の得票は、DH部門の33%だ。まだフェイズ1の投票期間中ながら、各ポジションのトップ3(外野手部門はトップ9)が選考対象となるフェイズ2でも、ゲレーロJr.は他の2人に圧倒的な差をつけるだろう。

 メジャーリーグ1年目の20182019年に、ゲレーロJr.はオールスター・ゲームのホームラン・ダービーに出場し、最初のラウンドで29本、次のラウンドで40本、決勝ラウンドで22本のホームランを打った。決勝ラウンドでピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)に敗れたものの、その差は1本。アロンゾの計57本に対し、ゲレーロJr.は計91本を記録した。

 だが、アロンゾと違い、ゲレーロJr.はオールスター・ゲームのメンバーではなかった。昨年のオールスター・ゲームは、中止となった。

 ゲレーロJr.の父、ブラディミール・ゲレーロは、オールスター・ゲームに9度選出された。モントリオール・エクスポズ時代の4度(1999~2002年)とアナハイム/ロサンゼルス・エンジェルス時代の4度(2004~07年)に、テキサス・レンジャーズでプレーした2010年だ。2006年のオールスター・ゲームでは、ブラッド・ペニーからホームランを打って先制点を挙げた。その翌年は、ホームラン・ダービーで優勝している。

 どちらもオールスター・ゲームに選ばれたことのある親子を探したところ、以下の15組が見つかった。ここに、ゲレーロ親子も加わる。

 父1人に息子2人も、1組として数えた。ボブ・ブーンは、2組に名を連ねている。父のレイと自身、自身と息子のブレットアーロンだ。ターク・ファレルリチャード・ドットソンの場合、生物学上の父がファレルであるとドットソンが知ったのは、つい最近のことだ。ファレルは、1977年に亡くなった。なお、ここには含めなかったが、アトリー・ハンメーカーの娘はヤン・ゴームズ(ワシントン・ナショナルズ)と結婚していて、ハンメーカーとゴームズはオールスター・ゲームに1度ずつ選ばれている。1983年と2018年だ。

筆者作成
筆者作成

 ファン投票の中間発表で、各ポジションの1位に位置した選手のうち、ナ・リーグ遊撃手部門のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)とナ・リーグ外野手部門のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)も、ベースボール・プレーヤーだった同名の父を持つ。もっとも、タティースの父はオールスター・ゲームに選ばれたことがなく、アクーニャJr.の父はメジャーデビューできなかった。3人の父については「ジュニアの時代!? 17本塁打でトップの3人は、アクーニャJr.とタティースJr.にゲレーロJr.」で書いた。

 一方、ゲレーロJr.のチームメイト、キャバン・ビジオボー・ビシェットは、オールスター・ゲームに選ばれたことのある父を持つ。クレイグ・ビジオは選出7度、ダンテ・ビシェットは選出4度だ。今シーズンの成績からすると、ボーは初選出となってもおかしくない。ただ、ファン投票では、ア・リーグ遊撃手部門1位のザンダー・ボガーツ(ボストン・レッドソックス)に大差をつけられている。また、ア・リーグ二塁手部門の1位には、こちらもチームメイトのマーカス・シミエンがいる。各チームから少なくとも1人を選出というルールがあるので、ファン投票でゲレーロJr.とシミエンの2人が選ばれると、ビシェットはメンバーに入れないかもしれない。

 他にも、父がオールスター・ゲームに選ばれたことのある現役選手――今シーズンの試合に出場している選手――は少なくない。見落としがなければ、ハンター・ハービー(ボルティモア・オリオールズ)、タイラー・ネビン(オリオールズ)、カル・クオントリル(クリーブランド・インディアンズ)、ダズ・キャメロン(デトロイト・タイガース)、アダルベルト・モンデシー(カンザスシティ・ロイヤルズ)、キャム・ベドロージアン(オークランド・アスレティックス)、チャド・ウォラック(マイアミ・マーリンズ)、トラビス・ショウ(ミルウォーキー・ブルワーズ)がそうだ。けれども、彼らがオールスター・ゲーム初選出を果たすのは、そうなるとしても、来年以降だろう。

 ちなみに、それぞれの父は、ブライアン・ハービーフィル・ネビンポール・クオントリルマイク・キャメロンラウル・モンデシースティーブ・ベドロージアンティム・ウォラックジェフ・ショウだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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