『ヤフー!』が『PayPay』にブランド変更したい4つの理由 『Zホールディングス』始動
KNNポール神田です。
※この記事はヤフーニュースに掲載されていても、あくまでも筆者の一個人的なひとつの見解でしかないことを最初にお断りしておきます当然、ヤフーからの正式な発表でもありません。
■『理由その1』YではなくZへシフト、持ち株会社 Zホールディングスでヤフー!の露出が激減
2019年10月1日から、東証1部に上場している『ヤフー株式会社』は『Zホールディングス』となる。YからZへとオンラインからオフラインとの融合を目指す。『Zホールディングス』は、『ヤフー株式会社』を傘下に持ち、『ヤフー株式会社』は『PayPay』を傘下に持つ…。しかし、近いうちに『Zホールディングス』は『PayPay』を金融持ち株会社の傘下とする予定だ。そして、新生『Zホールディングス』は通信の『ソフトバンク』が44.5%のシェアを持つ親会社となっている。そして、『PayPay』の出資は、投資会社の『ソフトバンクG』 50% 通信の『 ソフトバンク』25% 社名変更する『Zホールディングス』25%という資本構成だ。この資本構成の中でも、記憶からゆっくりと薄れていくのが、『Y!』の『ヤフー!』の名前だ。
■『理由その2』ヤフーの名前が続々とPayPayへと変わる『PayPayフリマ』の開始
実質、個人においての『ヤフオク』は10月以降は、『PayPayフリマ』へシフトしていくという意味にも取れる。
そして、『Yahoo!マネー』は『PayPay』に9月末日に統合化されるスケジュールにある。
■『理由その3』『ヤフーショッピング』のアッパー層、プレミアム層を狙う『PayPayモール』と売上ロイヤリティ3%
しかし、無料で出店できる「Yahoo!ショッピング」と違い、「PayPayモール」の出店基準は、かなり厳しいのがよくわかる。
この敷居は相当高い。つまり、年間1.2億円以上の売上のショップだけが『PayPayモール』へ出店できることとなる。さらに『PayPayモール』からは売上の3%を徴収することとなる。完全に『ヤフー』ブランド < 『PayPay』ブランド のプレミア感が作られる事となる。
2018年のヤフーの年間売上高は9,547億円であり、営業利益は1,405億円(14.7%)であった。
EC部門の売上げシェアは68.0%で6,496億円であった。しかし、営業利益は557億円(利益率8.5%)であり、全売上に占める貢献度では5.8%にすぎない。一方、メディア部門の売上シェアは31%の3,034億円だが、営業利益は1,410億円(利益率46.4%)で、全売上に占める貢献度では14.7%となる。
EC部門のドラスティックな変化に『PayPay』ブランドを投入という解釈は十二分に可能だ。
■『理由その4』米Yahoo!のライセンシング料金3%で年間286億円のロイヤリティ
若い読者はあまり知らないだろうが、『ヤフー株式会社』という会社は米国のベンチャー企業である『Yahoo!』からライセンスを受けて日本で合弁で作られた会社だ。しかし、米国の親会社がダメになっていくパターンはマクドナルドやセブンイレブンをはじめアメリカあるある話しである。米Yahoo!の場合はさらに悲惨だ…。
米Yahoo!の主要事業はベライゾンに48.3億ドル(4830億円)で買収(2016年7月25日発表)された。保有株の管理会社である米Altaba(旧Yahoo!)は、ヤフー日本法人株の約35%を2018年9月10日に売却している。この時点でヤフー日本法人との縁は切れた。そして2019年1月よりAOLと米Yahoo!統合企業は「Oath」となった。(Oathは、Verizon Media Group傘下)2019年1月、これで米国でのYahooはすべて消滅している。しかしながら、日本のヤフー株式会社は、『Yahoo』という名の使用ライセンス料金を売上高の3%として「Oath(旧Yahoo!)」に上納しなければなない契約だ。
2018年度の売上、9,547億円の3%はざっと286億円となる。営業利益1405億円の20.3%、当期利益778億円の36.7%にもなる。
筆者が、CEOならば、もはや世界に存在しないYahoo!本社への『みかじめ料』の年間300億円をベライゾンにわたす契約そのものを改善したくなる。
PC時代を制覇してきた『ヤフー!ジャパン』。モバイル時代にもキャッチアップしてきた。しかし、世代のジェネレーションを超えるのは難しい…。現在のPCにおけるヤフーユーザーは40代以上が72%を占めている。モバイルでも61%だ。
当初は『PayPay』という語韻の響きは、チープな印象を持っていたが、ここ最近は抵抗感がなくなってきた。エンドユーザーって以外に名称変更には難色を示すが、変わってしまえばそれはそれで必要なサービスであれば受け入れてしまうものだ。
ライセンスの詳細な契約状況がわからないが、『Yahoo!』という名を借りないことにより、新たな客層へのリーチをはかることができるのももちろんのこと年間300億円のキャッシュが使えるというのは、100億円還元キャンペーンを年間3本も打てるくらいインパクトがある。