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【京都市中京区】華道のルーツは聖徳太子! 没後千四百年大遠忌で池坊が全国華道展 家元ら力作約850点

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 池坊華道会の作品には、先例だけにとらわれず、いつも時代を切り開くような工夫や力強さがあり、そこに新しい風を感じるのは筆者だけではない筈です。華道家元池坊が開催している、江戸時代前期から続く花展「旧七夕会 池坊全国華道展」はまさに圧巻でした。

「聖徳太子千四百年大遠忌記念『和と美』」がテーマ
「聖徳太子千四百年大遠忌記念『和と美』」がテーマ

 今年は、六角堂を建立した聖徳太子の没後1400年遠忌の年であることから、「聖徳太子千四百年大遠忌記念『和と美』」(外部リンク)がテーマ。家元道場では、四十五世の池坊専永家元、池坊専好次期家元、池坊美佳青年部代表を始め、池坊中央研修学院教授陣の珠玉の作品が一堂に展観できます。2階には全国の華道家による約850点の生け花の力作が展示されています。

作品の前で池坊専好次期家元 池坊華道会撮影許可 転載不可
作品の前で池坊専好次期家元 池坊華道会撮影許可 転載不可

 華道発祥の地である六角堂と池坊会館で2021年11月10日(水)~15日(月)まで開催されています。江戸時代の前期に後水尾天皇が宮中での大立花会を催した際に、二代池坊専好が指導者として招請されて以来続く日本最古の花展です。

池坊華道会撮影許可 転載不可
池坊華道会撮影許可 転載不可

  紫雲山頂法寺は、聖徳太子が用明天皇2年(587)に創建したと伝えられ、本堂の形が六角形であることから、古くより「六角堂」の通称で親しまれています。いけばなは、聖徳太子が仏教伝来とともに、仏前供花として始めたといわれ、六角堂は代々華道家元池坊が住職を務め、いけばな発祥の地としても知られています。

聖徳太子と六角堂 池坊華道会撮影許可 転載不可
聖徳太子と六角堂 池坊華道会撮影許可 転載不可

 池坊会館3階のいけばな資料館では、六角堂に伝わる聖徳太子ゆかりの歴史資料を一挙に公開する特集展示「聖徳太子といけばな」が開催されています。いけばなのルーツともなった仏前供花の三具足(みつぐそく)の生け花展示や聖徳太子二歳像(南無大師像)、聖徳太子絵伝など、数々の貴重な資料も特別展示されています。

普段は六角堂本堂に収められている聖徳太子二歳像(南無大師像) 池坊華道会撮影許可 転載不可
普段は六角堂本堂に収められている聖徳太子二歳像(南無大師像) 池坊華道会撮影許可 転載不可

 仏教をめぐって曽我氏と物部氏が争った際に、16歳の太子が出陣し、馬に跨って弓を引く姿を描いた聖徳太子騎馬像(馬上太子像)は大変珍しいもの。室町時代の土佐光信筆と伝わる聖徳太子像も右手に笏を持つ世俗的な姿で、丸みを帯びた顔立ちが印象的でした。

聖徳太子騎馬像(馬上太子像) 池坊華道会撮影許可 転載不可
聖徳太子騎馬像(馬上太子像) 池坊華道会撮影許可 転載不可

 開会式で池坊専好次期家元は、「コロナ禍で分断された人々の絆を、和と美をもって考え直すことは、国難を乗り越え、世界平和にもつながっていくこと」と話しました。その後行われた、2022年の10月31日まで行われる聖徳太子千四百年大遠忌事業の開白法要にあたっては、これまで太子御遠忌で家元がその時代の松を生けてきた先例に倣い、六角堂貫主でもある池坊専永家元が本尊如意輪観世音菩薩に立花新風体を手向けました。

池坊専永家元始め華道会役員の方々
池坊専永家元始め華道会役員の方々

 めったに見られない貴重な展示の数々です。これまでいけばなにかかわりのない方も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

頂法寺 六角堂 池坊会館 京都市中京区堂之前町248 075-221-2686

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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