「成功するためには印象に残ることが重要」働く女性に助言/ノルウェーで世界女性会議
世界中の働く女性たちを応援するネットワーク組織WIN(Women’s International Networking)の会議が、首都オスロで開催された。
創設者はノルウェー人女性のクリスティン・エングヴィッグ氏。世界各地で開催されていた会議だが、20周年を記念して同氏の母国ノルウェーで今年は催された。
5日間のイベントには、世界各地から800人以上のリーダーが集合。互いの経験や悩みを共有し、インスパイアするこの機会は毎年大きな人気を誇る。
後半のワークショップでは、会場であるホテルの各部屋で、スピーカーたちが得意のテーマでレクチャーをする。
イタリア出身のスタイル・コンサルタントであるパオラ・デッラ・キエザ(Paola Della Chiesa)さんは、働く女性のためのスタイルについて話した。
彼女の話す「スタイル」は、服装などのファッションだけではなく、メイク、笑顔、アイコンタクト、手の動き、話し方など全体を指す。
「ビジネスで成功するためには、ファッショナブルである必要はありませんが、スタイルは重要です」。キエザさんは、レクチャー後に筆者とのインタビューで語る。
「私は普段は男性・女性の両方にアドバイスをしますが、女性はやはりこのテーマについて関心が高いですね。達成しようとする目標と、自分のしぐさとの間には、正しいバランスが必要です」。
背景が異なる各国から来た女性たちに向けて、キエザさんは「自分らしさ」と、「相手の国のカルチャー」のバランスを図ることが大事だとも語る。
「ノルウェーでの集まりに出席する際に、私がなぜこの赤いドレスを選んだか。まずは、会議のシンボルカラーが赤だから。そして、目立つ赤は相手の印象に強く残るからです」。
「日本でWIN会議が開催され、日本人女性の前で話したときには、違う態度で臨みました。訪問する国へ配慮して、着物を着て、もっと抑えた声のトーンで話しました。自分とアジアのカルチャーをミックスさせようと考えた結果です」。
外国でビジネスをするときのアドバイスとして、キエザさんは日本でのケースを「出る杭は打たれる」、保守的なカルチャーが残る国だと来場者に説明。
「日本ではイエスは同意を意味せず、歯を見せて笑わない。香水や目立つ色の服がなくとも確立する優雅さと、周囲への同調が求められる。日本とビジネスするときは、シンプルで洗練された格好をおすすめします」という内容が、キエザさんのパワーポイントには記されていた。
「ボディタッチは欧州では普通ですが、日本ではそうでもありませんね。ある程度の距離を置いたほうがいいとされます。常に真面目で、靴を見て、目をあまり合わせようとしない傾向もあるようです。この距離感は、欧州の人にとっては難しいこともあります」。
世界のビジネスで成功するためには、自分のブランドを確立し、「相手の印象に残る」ことが大事だと、何度も強調するキエザさん。
世界で羽ばたこうとする日本人女性には、欧州の人のようにまでならずとも、「いつもより、もう少し長くアイコンタクトをする」ようにアドバイスをする。
「男性のような格好や動作をする必要はありません。落ち着いた色のスーツを着るとしても、スカーフやバッグなど、ワンポイントで明るいカラーをいれてみるといいのでは」。
日本人が欧州の人と会うときには、着物を着ることをすすめる。「母国の典型的な何かをまとっていると、いいことがありますよ。『ビジネスの場で覚えてもらう』という目標を達成するためにもね」、とキエザさんは話した。
Photo&Text: Asaki Abumi