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藤井聡太竜王3連覇か、伊藤匠七段初タイトルか――第36期竜王戦七番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
番勝負では初めて年下の挑戦者を迎える藤井聡太竜王(筆者撮影)

 藤井聡太竜王(21)に伊藤匠七段(20)が挑戦する第36期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)は10月6、7日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で第1局が行われる。

 藤井竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖)は3連覇が、伊藤七段にとっては初タイトル獲得がかかる七番勝負だ。

 データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<竜王戦七番勝負日程>

第1局 10月6、7日 東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」

第2局 10月17、18日 京都府京都市「総本山仁和寺」

第3局 10月25、26日 福岡県北九州市「旧安川邸」

第4局 11月10、11日 北海道小樽市「銀鱗荘」

第5局 11月27、28日 香川県仲多度郡「ことひら温泉 琴参閣」

第6局 12月6、7日 秋田県大仙市「旧本郷家住宅」

第7局 12月13、14日 山梨県甲府市「常磐ホテル」

安定感抜群の藤井竜王

<藤井竜王の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

7月13、14日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局

対佐々木大地七段 ○

7月18日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局

対佐々木七段 ○

7月25、26日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第3局

対佐々木七段 ○

8月4日 王座戦本戦挑戦者決定戦

対豊島将之九段 ○

8月15、16日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局

対佐々木七段 ●

8月22、23日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第5局

対佐々木七段 ○

8月31日 王座戦五番勝負第1局

対永瀬王座 ●

9月9日 将棋日本シリーズ

対菅井竜也八段 ○

9月12日 王座戦五番勝負第2局

対永瀬王座 ○

9月27日 王座戦五番勝負第3局

対永瀬王座 ○

<伊藤七段の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

7月27日 竜王戦決勝トーナメント

対稲葉陽八段 ○

7月31日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

対永瀬拓矢王座 ○

8月3日 順位戦C級1組

対片上大輔七段 ○

8月14日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

対永瀬王座 ○

8月22日 棋王戦コナミグループ杯本戦

対郷田真隆九段 ○

8月29日 順位戦C級1組

対古賀悠聖五段 ●

9月8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対勝又清和七段 ○

9月12日 朝日杯将棋オープン戦1次予選

対斎藤明日斗五段 ●

9月26日 順位戦C級1組

対先崎学九段 ○

10月2日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対永瀬王座 ●

 藤井竜王の直近10局はタイトル戦続きのハードスケジュールにもかかわらず8勝2敗と順調で、しかも先手番の敗局は今年度に入ってから王座戦第1局の対永瀬王座戦のみと安定している。

 ランキング戦5組優勝から決勝トーナメントでトップ棋士を次々となぎ倒し挑戦者に名乗りを上げた伊藤七段も直近7勝3敗と好調だが、8月末からややペースダウンした感がある。調子の比較では藤井竜王が一歩まさるといっていいだろう。

戦型は角換わりと相掛かり中心か

 過去の直接対決は藤井竜王の2勝0敗。戦型は過去の対戦と最近の選択傾向から藤井竜王先手なら角換わり、伊藤七段先手なら相掛かりが本命で対抗に角換わりを予想する。

 実績から見れば無論藤井竜王断然有利だが、子どものころからのライバルで藤井竜王にとっては同年代とはいえ年下の挑戦者を初めて迎えるプレッシャーも少なからずあるだろう。失うもののない伊藤七段が鋭く踏み込むことで、七番勝負が想像以上の接戦になる可能性は少なくないと見ている。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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