不安要素を指摘されるNFTは日本のコンテンツ産業において追い風となるか
イラストやマンガ、声や音に音符などなど様々なデータに、オンライン上で売買した履歴などのデータを紐づけることができるNFT。日本国内でも40を超えるマーケットプレイスが存在しますし、世界最大級のNFTマーケットプレイスOpenSeaは、2022年1月9日の取引額が2億6100万ドル(約3100億円)を記録するなど、積極的な取引がされています。
しかしNFTには問題点もあります。他人が作ったデータも勝手に登録して販売できる。簡単にコピーして複製できる。日本の法律ではデジタルデータに所有権が認められない。これらはNFTに限った話ではなく、デジタルデータの売買全般においていえることではあるのですが、「いまなら儲かる」といった投機ばかりが注目されるNFTならではの不安要素として多方面から指摘されています。
ところが最新のNFTの活用事例を見ていくと、リアルなコレクションアイテムとNFTアートをあわせたもの、マンガへの出演権をNFTオークションで販売したもの、ギャランティカード(正規品証明書)をNFTとしてブロックチェーン上で管理するものなど、デジタルデータに囚われないアプローチを行う企業が増えてきていることがわかります。
例えばメタルダンスユニットのBABYMETAL(ベビーメタル)はデジタルファッションレーベル「1BLOCK」とコラボ、シューズのデジタルデータをNFTとして販売しましたが、このNFTはメタバースで着用可能なデジタルシューズや、現実世界で履けるスニーカーも提供される予定となっています。
アニメ業界と一般企業とのビジネス活性化を加速させる取り組みを行っているアニものづくりアワード実行委員会は、アニメなどのコンテンツやそのファンにとって価値あるNFTを表彰するべく、あらたにNFT特別賞を設けたそうです。
世界的にも価値があり、日本のアドバンテージとなっているコンテンツ企業は
、NFTという新たな市場にどう取り組むのか。不安要素が取り沙汰されるNFTではありますが、ビジネス視点で見てもクオリティの高い活用事例が強くアピールされていくようになれば、上手な活用法が周知されていくのではと考えます。