主な新興国/米国経済ニュース(5日)
米グーグル、カリフォルニア大学と共同で量子コンピューター開発へ
米インターネット検索大手グーグル<GOOGL>は、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の研究者チームとの産学共同で、世界最高速のコンピューターの演算処理を可能にする量子コンピューティング技術の開発に挑戦する。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが3日に伝えた。
現在、世界最高速のコンピューターは中国のスーパーコンピューター「天河2号(Tianhe-2)」だが、量子コンピューターは天河2号さえもカタツムリの速度に感じられるほどの高速を実現するといわれている。量子コンピューターは「0」か「1」で表すバイナリ・コンピューターと違い、「0」と「1」の両方の状態を使ってデータを並列処理することができる。
グーグルとカリフォルニア大学の研究者チームは、新たに「量子人工知能チーム」を結成するが、グーグルはすでにカナダの量子コンピューター開発大手ディー・ウェイブ・システムズの研究者チームとも量子コンピューターの開発に着手している。ディー・ウェイブは量子コンピューターの本格的な商用第1号となる「ベスビオス」を開発中で、NASA(米航空宇宙局)と共同で1000クビット(量子ビット)の量子コンピューター用プロセッサ「ワシントン」の開発に取り組んでいる。
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米ホームデポ、カード利用者の個人ID保護サービスを無料提供へ
米ホームセンター大手ホームデポ<HD>は、顧客のクレジットカードやデビットカードの支払いに関するデータが何者かにハッキングされた可能性があることを重く見て、顧客に対し、カード利用者の銀行口座や電話番号、カード番号など個人IDの盗難被害を防ぐため、個人ID保護サービスを無料で提供する。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)が3日に伝えた。
また、同社では顧客に対し、自身のカード口座のモニタリングを欠かさず、不適切なカード使用の兆候に気が付いた場合にはカード会社に問い合わせするよう注意を喚起したとしている。また、カード不正使用の事実が分かった場合にはそのカード利用金額の支払いの責任は顧客ではなく、ホームデポとカード発行会社にあると強調している。
サイバーセキュリティの専門家ブライアン・クレブス氏が、外部のハッカーが5月からホームデポのコンピューターに侵入し、ホームデポの顧客の信用情報が大量に盗まれ売却されたと報告したのを受けて、同社ではすでに関係先の銀行や司法当局と協力して、事実解明の調査に乗り出している。
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米テスラ、充電池生産の新工場の立地点をネバダ州に決定
米電気自動車専業のテスラ・モーターズ<TSLA>は4日午後、最大50億ドル(約5300億円)を投じて、次世代の新型電気自動車向けリチウムイオン充電池を生産する新工場をネバダ州カーソンシティに建設する計画を正式に記者発表する。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなどが3日に伝えた。
記者発表にはテスラの代表のほか、ネバダ州のブライアン・サンドバル知事、カーソンシティのボブ・クロウェル市長も出席し、太平洋時間4日午後4時(日本時間午前9時)に開かれる。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7月に40億‐50億ドル(約4200億-5300億円)を投じてネバダ州に新工場を建設する構想を明らかにしたが、その後、同社の新工場の建設誘致を巡ってネバダ州のほか、カリフォルニア州など5州が補助金交付などさまざまなインセンチブ(奨励策)を提示して誘致合戦を展開していた。
同CEOによると、新工場の生産能力は、同社が2013年に生産した約3500万ギガワット(1ギガワット=100万キロワット)時のリチウムイオン充電池の全生産量を上回るとしている。2017年までに量産化を図る考えだ。
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ロシアのプーチン大統領、ウクライナ東部停戦合意の7条件を提示
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は3日、訪問先のモルドバの首都ウランバートルで、ウクライナ政府が同日、一方的に同国東部での停戦合意を発表したのを受けて、ロシアがウクライナからの停戦の呼びかけに応じるために必要な7項目の条件を明らかにした。地元紙キエフ・ポスト(電子版)などが伝えた。
7つの条件は、(1)ウクライナ東部に展開する政府軍と親ロシア武装グループはドネツク州とルハーンシク州での戦闘拡大を停止する(2)ウクライナ政府軍は同国南部から撤兵し、上空や人口密集地域への高射砲攻撃を停止する(3)無条件で双方の捕虜を交換する(4)政府軍と親ロシア武装グループが5日にベラルーシの首都ミンスクで和平会談を開き停戦に合意する(5)国際的な停戦監視(6)住民への空爆禁止(7)戦闘で破壊されたインフラの修復―となっている。
これに対し、NATO(北大西洋条約機構)のアナス・フォー・ラスムセン事務総長は、「プーチン大統領の7項目の停戦条件の根底には、本当に停戦を実現したいという真摯な考えは見当たらず、ウクライナ東部の混乱を続けようとしている」と批判している。国連の調べによると、東部での戦闘では約2600人が死亡し、34万人が難民となっている。
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ベトナム首相、独ODA資金使った風力発電4カ年計画を了承
ベトナムのグェン・タン・ユン首相は、ドイツ政府による資金援助を利用して、今年から2018年までの4カ年計画で大規模な風力発電所建設プロジェックトに着手することを了承した。ベトナムの声・ハノイ放送局(電子版)が4日に伝えた。
この4カ年計画では370万ユーロ(約5億1000万円)の資金が使われ、そのうち、大半の360万ユーロ(約4億9000万円)はドイツ政府のODA(政府開発援助)、残りは国家予算で賄われる予定。所管の産業貿易省によると、ベトナムの将来の風力発電の設備容量は発電出力換算で、陸上部は5億1300万ワット、海上部も2億ワットに達する可能性があると予想している。また、IEA(国際エネルギー機関)と世界銀行の調査によると、ベトナムの領土の8.6%は風力発電に適しており、ラオスの2.9%やカンボジアとタイの0.2%を大きく上回っている。
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インドネシアのガルーダ航空、傘下のシティリンクの持ち株売却延期
インドネシア航空大手ガルーダ・インドネシア航空は傘下の格安航空大手シティリンク・インドネシア航空の持ち株の売却を当分の間、延期することを決めた。ジャカルタ・ポスト(電子版)が4日に伝えた。
ガルーダのエミルシャ・サタル社長は記者団に対し、売却延期の理由について、シティリンクの最近の株価が低迷しているため、と述べている。ガルーダは今年初め、シティリンクの持ち株40-49%を売却することを決めている。ガルーダは今年1-6月期決算で2億1100万ドル(約220億円)の純損失を計上し、一方、シティリンクも1600万ドル(約16億8000万円)の最終赤字となっており、ガルーダはシティリンクの持ち株売却で経営体質を改善したい考えだ。(了)