【NHL】年俸交渉決裂! ワシントンキャピタルズを初優勝に導いたヘッドコーチがチームを去る!!
ワシントン キャピタルズが、ベガス ゴールデンナイツとのスタンレーカップファイナルを制して、今季の戦いを終えたNHLは、明日(現地時間)各賞の発表と表彰を行う「NHLアウォード」を開催。
会場となるラスベガスのハードロックホテル&カジノには、初めてのスタンレーカップを勝ち取る原動力となり、コンスマイス トロフィー(プレーオフMVP)を受賞したアレックス・オベチキン(FW・32歳)ら ”今季の主役たち”が、出席する予定です。
▼トロツヘッドコーチが辞任!
そんな華やかなイベントを前に、思いもよらなかったニュースが届きました。
ワシントンは、2014年5月に契約を結んで以来、4季にわたってチームを率いてきた バリー・トロツ ヘッドコーチ(HC・55歳/タイトル写真)の辞任を、昨日(現地時間)発表しました。
▼プロ選手経験ゼロ! NHLのHCキャリアは20年 !!
トロツHCは、選手としてのキャリア(フルシーズン)はジュニアリーグのみながら、故郷のマニトバ大学(カナダ)で、アシスタントコーチ(AC)を1年間務めたあと、23歳でジュニアリーグのGM兼HCに就任。
その後、NHLチームのスカウトや、AHL(NHLの一つ下のリーグに相当)のチームでHCを担い優勝するなどして実績を積み重ね、36歳の時にナッシュビル プレデターズの初代HCに抜擢。
日本で開催された公式戦も含め、16季(ロックアウトによるシーズンキャンセルの年も含む)にわたって指揮を執りました。
▼ナッシュビルのチーム改革でワシントンへ
しかしナッシュビルは、デビット・ポイルGMが「攻撃的なチームへの変貌」を掲げたのを機に、2014年からチームを一新。
契約が満了したトロツHCとは再契約をせず、得点力の高いチームを構築したキャリアを持つピーター・ラビオレットHCを招へい。
一方のワシントンは、同じ年にプレーオフ進出を逃したのを機に、アダム・オーツHCを解任し、コーチ経験が豊富なトロツをHCとして招き入れたのです。
▼年俸交渉決裂
ワシントンを率いることになったトロツHCは、毎年チームをプレーオフへ導き続け、就任4年目の今季は、ついにNHLの頂点に立ちました!
それだけに、本来であれば、創設44季目にして悲願のスタンレーカップ獲得の功労者として、称えるべき存在であるにもかかわらず、トロツHCがチームを離れることになってしまったのは、ズバリ、「年俸交渉決裂」が原因です。
▼「スポーツはビジネスだ」
カナダのメディアによると、ワシントンとトロツHCとの契約は今季をもって満了となりますが、オプション契約として、
「スタンレーカップを勝ち取った際は、2年間契約を延長する」
との項目が付け加えられていたそうです。
しかしながら、上記の契約で決められた年俸は、「150万USドル(およそ1億6500万円)」
近年にスタンレーカップを勝ち取ったHCが、「500万USドル(およそ5億5000万円)以上の評価を受けているとあって、この評価に納得できず。
こうした経緯から、トロツHCは辞任を表明し、ワシントンも他チームとの交渉に臨むことを容認した模様です。
トロツHCとの再契約に至らなかった後、メディアからの問い掛けに対し、ブライアン・マクレランGMは、こう答えました。
「スポーツはビジネスだ」
▼ワシントンの次の指揮官は?
優勝ムードから一転して、HC不在となったワシントンですが、現地のメディアの間では、他チームからもHC候補として注目を集めていた トッド・リアデン アソシエイトコーチ(=トップアシスタントコーチ/46歳・下の写真中央)の昇格が有力視され、マクレランGMも「有力な候補」であると認めています。
現役時代はDFだったことから、トロツHCの下でも、ディフェンス面の指導を託され、守りの向上に寄与して優勝に貢献。
選手からの信頼も厚いコーチだと評されています。
▼史上二人目のHCになる?
一方、1967年のエクスパンションで、NHLが12チームで争われるようになって以降、優勝に導いたHCが、その年のオフにチームを離れたのは、これまでに、
スコッティ・ボウマン(1979年モントリオール カナディアンズ)
ボブ・ジョンソン(1991年ピッツバーグ ペンギンズ)
マイク・キーナン(1994年ニューヨーク レンジャーズ)
スコッティ・ボウマン(2002年デトロイト レッドウィングス)
と3人(のべ4人)だけ。
このうち翌年に他チームのHCに就任したのは、キーナンのみ(セントルイス ブルースのHC就任)ですが、新たなチームで采配を振るトロツHCの姿を見る機会は、来季中に訪れるでしょうか。